Year Book of RCC 2019

Autor: 冨田善彦(編集)/金山博臣(編集)/植村天受(編集)/篠原信雄(編集)
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Popis: 有転移症例において根治的腎摘除術は有用か否かについては,サイトカイン時代には無作為化比較試験(RCT)の結果から一定の結論が得られていました。つまり,特にperformance status(PS)が良好などの条件を満たしている場合には予後延長に寄与する,というものです。2008年以降,ソラフェニブやスニチニブ,バゾパニブ,エベロリムスをはじめとした分子標的薬が使用されるようになり,有移転症例の予後が延長しましたが,cytoreductive nephrectomy(CNx)の意義についての高いレベルのエビデンスは存在しませんでした。このclinical questionに答えを与えるべく,かなり前からSURTIME試験,CARMENA試験の2つのRCTが開始されていましたが,2017年のESMOでSURTIME試験の結果が,またASCOでCARMENA試験の結果が報告され,おおむね全身治療を先行したほうが良い結果が得られるとの結論になりました。しかし,双方の試験ともに予定された症例数よりもかなり少ない症例での解析であり,また登録された症例が日常臨床の症例とは異なること,試験結果の解析法や解釈の問題もあり,すべての有移転症例で根治的腎摘除CNxが否定されるわけではないのが現状でしょう。また,CNxは初回診断時のみならず治療経過のなかで,特に全身治療が転移巣に奏功した際にも考慮されることがあります。本号では,この点のついてCNxを支持する,あるいは反対の立場から誌上でのdebateを展開していただきました。 また巻頭の【Round Table Discussion】ではFar-advanced diseaseおよびhigh risk RCCに対する初期治療について実際の症例についてのディスカッションを,さらに第Ⅲ部【TKI up date】ではチロシンキナーゼに関して取り上げてみました。 本号もまた,少しでも皆様の日常診療の一助になれば幸いです。
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