米作のライフサイクルアセスメント

Autor: Breiling, Meinhard
Jazyk: japonština
Předmět:
Zdroj: KEO discussion paper. G : 『アジア地域における経済および環境の相互依存と環境保全に関する学際的研究』.
Popis: 概要人類の持続可能な発展を考える上で、農業は最も重要な産業の一つである。日本の農業の中で作物としての生産額、生産資本としての土地利用面積、エネルギー、資源の投入量などの面から最も大きい作物は米である。そこで、本稿においては、米作のライフサイクルアセスメントをおこなった。まず、2章において、分析に用いたシステム連関分析によるLCA手法の枠組みについて述べた。次に、このLCA手法の適用対象として、生産地域別、生産規模別の米作を取り上げ、そのLCA比較をおこなった。この結果、肥料、農薬や機械の運転に要するエネルギーなどの原料投入によるCO2発生と機械設備などの製造に起因するCO2発生を含めたライフサイクルCO2発生量が算定され、生産規模、生産地域による相違も示された。これより、米作のLCAに固有の特徴が明らかにされた。その第一は、原料投入によるCO2発生よりも、むしろ農業機械の製造に起因するCO2発生の方が大きいということである。これは燃料投入によるCO2発生が殆ど(99%以上)を占める化石燃料発電所、走行モードにもよるが10.15モードでは走行によるCO2発生が3/4程度を占める乗用車と比較しても顕著な特徴である。生産規模に関しては、規模が大きくなるほどCO2発生が小さくなるという傾向が明瞭に現れたが、これも機械の利用が主な原因と考えられる。(規模の小さい水田でも各農業機械を一通り所有する傾向がある。)次に生産地域別の比較では、一般に寒冷地域の方が米の単位生産額当りのCO2発生が小さいという結果が得られた。これも気候条件の違いによる肥料や農薬投入の差異によるよりも、東北・北海道の方が関西・四国よりも平均生産規模が大きいという規模の影響が卓越した結果となっている。今後の分析の課題としては、CO2以外の温室効果ガスを含めた評価にすることが挙げられる。特に、メタン・亜酸化窒素の水田からの発生はGWPを用いた等価CO2発生量としては、大きいと考えられるので、信頼できるデータに基づく評価が急務である。また、これらの評価から、CO2の低減につながる建設的な方策を検討すること重要である。ここでは、生産側の事情をも考慮した実現可能な方策を考案する必要がある。
表紙上部に"日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業複合領域「アジア地域の環境保全」"の表示あり
Databáze: OpenAIRE