Jazyk: |
japonština |
Rok vydání: |
2021 |
Předmět: |
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Zdroj: |
拓殖大学論集. 人文・自然・人間科学研究 = The journal of humanities and sciences. 45:142-158 |
ISSN: |
1344-6622 |
Popis: |
本稿は、木下尚江の第三作目にあたる小説『霊か肉か』の分析を通して、明治のキリスト教者たちの公共性をめぐる精神運動の一端を明らかにすることを目的とした。『霊か肉か』は尚江の思想的転機とされる明治四十年に構想されたとされ、重要な作品として位置づけられてきたが、従来の研究ではタイトルとなっている「霊か肉か」という二項対立の問題が中心に論じられてきた。本稿では、作中に「都会」と「田舎」、「罪」と「聖」といった様々な二項対立が示されていることに着目し、本作が単に「霊肉」の二項対立を問題としているのではなく、明治近代の孕む様々な時代的要素を問題として提示していることを明らかにした。さらに、登場人物である大村次郎が林学を学ぶ大学生として設定されていることに、尚江が取り組んでいた同時代的問題の一端が窺えることを明らかにし、こうした大村の姿勢の根拠として佐幕という出自に着目した。その上で、『霊か肉か』に示される問題は、進化論を中心とする自然科学と信仰の調停へとつながる問題であり、この両者の間で揺れ動く動きそのものが明治近代の精神性であったと結論づけた。 |
Databáze: |
OpenAIRE |
Externí odkaz: |
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