困難克服過程で受けた支えに対する感謝が成人期以降の時間的展望に及ぼす影響‐世代継承性を育む体験の一つとしての子育てに着目して-

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2023
Předmět:
Zdroj: 福岡県立大学心理臨床研究. 15:7-16
ISSN: 1883-8375
Popis: 本研究は、困難克服過程での被援助経験に感謝することが、感謝特性の高まりを介し時間的展望を高めるというモデルを、成人期・中年期を対象に検討したものである。特に世代継承性を育む体験の一つとして子育て経験に着目して分析した。 独自に作成した成人版困難克服過程で受けた支えに対する感謝尺度(GPS13)は、「率直な交流と寛容への感謝」と「存在の受容への感謝」の2因子構造となり、信頼性と妥当性が確認された。140名のデータにて、現在子育て中(子育て群)、かつて子育て経験あり(完了群)、子育て経験なし(未経験群)の3群による多母集団同時分析を実施した。その結果、子育て群では、「率直な交流と寛容への感謝」が「過去受容」に直接負の影響を示したこと、完了群では、被援助経験に対する感謝からのパスが感謝特性に集約されたのち時間的展望の全ての因子に正の影響を及ぼすこと、未経験群でのみ「存在の受容への感謝」が「目標指向性」に直接正の影響を及ぼすことが示された。 特に子育て群と完了群における感謝と時間的展望の関連の相違は、子育ての進展によって感謝の体験が変容した結果、時間的展望の在り方が質的に異なっていく可能性を示していると考えられる。
Databáze: OpenAIRE