畜産における抗生物質の応用

Jazyk: japonština
Rok vydání: 1988
Předmět:
Zdroj: 総合都市研究. 33:109-119
ISSN: 0386-3506
Popis: 本稿は,食用を目的として生産されている動物のうち,主として家畜・家禽に対する抗生物質の使用実態からみて,その主体が,飼料添加による経口投与であることから,その使われている抗生物質を飼料添加物に限定した上で,各物質のもつ動物体内への吸収,分布,排泄および残留性の面から,各抗生物質の特性を論じたものである。飼料添加物は,アレルギーを起さず,消化管から吸収されず, したがって食肉やミルク,卵などの畜産生産物に残留することはなく,またこれらの物質の使用によって,人や動物の治療の妨げとなる耐性菌の出現のないことが理想である。飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)によって設置された農業資料審議会が指定した19成分の抗生物質飼料添加物は,上記の条件をなるべくみたすような物質を選んではいるが,それぞれの成分には,それぞれ異った吸収性,分布性,排泄性をもつものであるため,多少,消化管からの吸収の良い物質も含まれている。しかし,吸収された抗生物質が食肉やミルク,卵を通じて人の口に入ることは,わが国では,食品衛生法等の法律面からも厳しく禁じられているため,すべての抗生物質飼料添加物は産卵鶏の飼料には使用できない上,一定量添加することができるブロイラーの雛等の飼料にあっても,定められた期間,添加したのち,これを止めるに当たっては7日間,抗生物質を全く含まない無添加飼料を給与して,もし体内に抗生物質が残っていても,これを完全に排出させ得るのに十分な期間を設定し,その実施を義務づけているのである。
Databáze: OpenAIRE