教師の実践を支える『学習研究』誌の意義について考える ─奈良女子大学文学部附属小学校『学習研究』復刊第200号を中心にして─
Jazyk: | japonština |
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Rok vydání: | 2018 |
Předmět: | |
Zdroj: | 創大教育研究. 28:1-14 |
ISSN: | 2185-1395 |
Popis: | 本学教職大学院の教育課題実地研究における、学びの場、奈良女子大学附属小学校(以下、奈良女附属小)は、大正期以来、児童中心主義の理念に基づいた教育実践を積み重ねている。 毎年行われる教育課題実地研究で奈良女附属小を訪問し、教師の在り様を探ってみていると、児童も教師も共に学び、主体的、自律的な学びを児童と共に目指す教師が存在することが今までの研究で分かった。その、教師の在り様、教師が学びを深め、思索を継続してきた経過は、奈良女附属小が発行し続けている『学習研究』誌(奈良女子大学文学部附属小学校学習研究会発行の教育誌『学習研究』、以下『学習研究』と記す。なお、「文学部」と記載されていたのは、第407号まで)の存在で確かめることができる。 今回は、木下竹次(以下、木下)が、1922(大正11)年4 月に創刊した『学習研究』創刊の辞に「学習即ち生活であり、生活直ちに学習となる。日常一切の生活、自律して学習する処、私共はここに立つ」と示した理念が、時代の風雪を経て現在にどのように受け継がれているかを『学習研究』復刊第200号1、そして、その発刊の経緯を中心に追究し、奈良女附属小の児童中心主義における一貫して変わらない普遍的な理念や実践の継承を探ってみた。勿論、復刊400号等、区切り目の記念誌は存在するが、特に第200号には現在の奈良女附属小での「書くことの」重要性が明確に確認できる箇所が随所に見られる。「日記」指導をはじめ「書くこと」に力を入れ、優れた文章力を育んでいる実践の継承が顕著に見られ、また、復刊の歓びや感動、『学習研究』の発行を支えてきた様々な人々の情熱が明確に表現されている。その経緯を読み解くと、『学習研究』は教師の学びを支え続けてきた存在であると捉えることができる。 児童を取り巻く教育環境の現状を踏まえ、状況を的確に判断し、周囲の智慧や条件などを取り入れたり生かしたりする教師の在り様が、創刊の理念とともに『学習研究』に継承されているのである。そこには、時代を超えて、児童中心主義における教育活動の普遍的な視点が存在し、自律的な学びを支える児童の生活に着目した学習即生活、生活即学習という実践の継承が見られる。そして、また、その継承は、学びを深める教師の存在があって確かなものとなっている。 |
Databáze: | OpenAIRE |
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