Analysis of the current situation about the development of community-welfare and regional welfare A case study based on Chengdu

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2021
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Popis: 中国の都市部では1950年代に単位制度という国の基礎体制を始めた。それぞれの単位が住民の日常生活及び福祉の保障の責任を負った。しかし、1970年代の経済改革により、公的企業は合併し、倒産し、単位が崩壊した。次の1980年代に居民委員会が登場した。一方、農村の場合、単位制度である人民公社(1950年代)があった。しかし、共同労働と再分配の弊害が明らかになってきた。1980年代に人民公社は解体され、「村民委員会」 が機能し始めた。村民委員会は、都市部の居民委員会と同様に、正式な行政組織には含まれていないものの、行政末端レベルにある重要な住民自治組織であった。時代の発展に伴い、居民委員会だけでは地域で生じている問題を対応しきれなくなった。そこで、規範性がある専門的な対応体系を備えた社区が誕生した。 序章では、研究の背景、先行研究及び目的、研究意義、研究方法を論じた。研究背景は以下である。少子高齢化の影響に伴い、複数な社会問題が生じてきた。それに対応できるのは全世代支援型の地域包括体制である。中国では、社区が全世代支援型の支援体制を提供する場所としてあげられる。社区という中国固有の住民居住区域で縁取られた生活共同体が地域福祉の萌芽なるものとして浮かび上がる。地域福祉は、地域包括ケアシステムから、地域づくりまで様々な取り組みがある。いずれにしても、住民は主体的な位置を置くことで、住民は地域の協働に責任を負う。一方、住民のニーズを満たすことが地域にとって何より重要なことである。すなわち、住民の力を合わせて、一緒に安心安全な生活圏域を構築することが重要である。中国の社区に関する先行研究では、「社区の歴史的変遷」「社区服務」「社区と行政の関係」など理論的な研究があげられる。また、それぞれ都市の社区におけるサービス内容、いわゆる「社会工作」についての研究がある。社区に関する先行研究に、様々な結論があるが、社区は今後の中国に対して、重要な存在であり、より発展させるべきであるという共通認識で一致している。しかし、現状において、社区はどのようなプロセスで展開しているのか、どのような工夫があれば住民の福祉を推進できるのか、については、調査した限りでは言及がない。そこで、この研究の一つの目標として、まず社区の全体像を明らかにしたいと考えている。研究の方法として、地域福祉理論の要素参照にして、社区型地域福祉を明らかにした。具体的に、1)文献レビューを通じて、地域福祉に関する理論、社区定義、業務内容、歴史変遷を明らかにした。2)実証研究を通じて、成都市の社区全体像を明らかにすること、社区を、「社区福祉」などと呼びうる地域福祉の一形態として捉え、地域福祉の枠組みで構築していくことができるかどうかを考察すること、をした。さらに、序章では、研究のアプローチを図式化し、そのアプローチに関する説明を行った。 第一章では、地域福祉に関する基本的考えを論じた。まず、地域福祉とは何か。先行研究をまとめると、地域福祉は、地域住民に向けての福祉サービスを提供することだけではない。他にも、地域の一体性を促進する役割がある。地域福祉を実施するときには、機能的なアプローチと構造的なアプローチの二つがある。地域福祉の発展は、問題解決のプロセスを作り上げていく支援によってなされている。具体的には、地域社会をその対象として、現代の生活福祉問題を解決することである。問題解決に必要なこととして、①地域社会の特性を知ること、②地域社会に必要な制度や社会資源に関する環境条件を整備することがあげられる。さらに、地域福祉にかかる地域住民、及び住民主体の意義について明らかにした。地域福祉における住民とは、その土地に住んでいる人だけでなく、地理的な範域に限定されながらも、その地域での生活者として市民的な主体性を持った者である。住んでいる者、そして生活者としての市民が、街づくりを担う人々として期待されている。地域福祉における地域は、住民の助け合いなどの共同行為を基盤に圏域を形成する。地域福祉は住民の市民的な主体性を促進し、一方、その住民は地域福祉を促進するという相関関係にある。地域福祉の取り組みとしては、①地域包括ケアシステムから②地域づくりがあり、各自治体は、社会福祉協議会の実践や、(共生社会の実現のための)地域住民が主体の活動など様々である。そこで、全世代型の地域福祉における全体像を明らかにした。本章では、地域福祉の要素として、「住民主体」「行政協働」「全世帯型」「連携」を取れることができた。さらに、本章は補足節として、日本型地域福祉を述べた。本稿で使った地域福祉に関する理論は日本の研究者たちの文献であり、それらの理論は日本型地域福祉とはいえる。これまでの日本における地域福祉の発展過程の概略を記した。また、地域福祉にかかる主要な組織・団体として、地域福祉における最も伝統的な参加方法である町内会、地域福祉活動に参加し支え合い・助け合い意識を育む組織である社会福祉協議会・公民館をあげた。 第二章では、中国の社区事情について論じた。まずは、社区の定義である。先行研究により定義は様々であるが、共通点を取り上げて本研究は自らの定義を生成した。社区という呼び方は近年からのことであった。最初は「人民公社(1950年代農村)」、「単位(1950年代都市)」、「居民委員会(1980年代)」などの形で機能していた。社会の変遷により、人口流動の影響で、従来の地域保障ネットは日々に出てきた社会問題に追いつけずに、社区は住民日常生活圏域として不可欠と認識されながら、社区の概念は発展してきた。社区の発展段階は概ね3段階に分けられる。初期段階は社区の初段階であり、各地域において、様々な試みが出た。この段階で、社区に関する理論的な支持と実践はまだこれからであり、行政を中心に業務を推進ていたため、行政の色彩が濃厚であったとみられる。次は、改革段階は社区の中期段階であり、初期段階で多数の実践事例と経験が積み重ねられた。それぞれの実践により理論的な概念も豊富になり、社区に関する住民の認知度と参与が促進された。全面的な改革段階は現在であり、すでに理論及び実践経験を収集し、新型社区を発展させている。現在では、各地域で各形態の社区プロセスが展開されており、それぞれに特徴があり、共通点もある。各地域における社区事情の概略はそれぞれの研究で明確にしていた。しかしながら、これまで述べてきたように、社区研究に関する理論研究はまだ初期段階であり、明確的な社区全体像は形成されているとは言い難い。 第三章では、本稿の焦点都市である成都市の社区現状を明らかにすると目標にした。他都市の社区発展はバラバラの形であるので、社区を統合的に推進する成都市を選択した。成都市の社区全体像を明らかにするために、本章は、①社区発展治理委員会の役割を明確にした。社区発展治理委員会は成都市で初成立した社区の行政機関であり、成都市の社区発展に行政の力を注ぐ。社区発展治理委員会は2017年末に成立した、現時点まで(2018年9月)の文献がないため、本研究で記述する。具体的に、社区発展治理委員会の係員と一緒に社区を見学し、行政の公式サイトの内容を確認した。社区発展治理委員会について、設置背景と目的を明らかにした上に、機能も明らかにした。社区発展治理委員会は、主に社区発展保障資金を提供すること、サービス提供者を育成すること、都市環境を整備すること、の三つである。②社区サービスセンター実態を明確にした。今回の研究で、成都市の二つ社区を選んで、実地調査を行った。選定した社区現場に行き、社区主任に同行依頼した。社区サービスセンターは社区の中核機関として、地域住民の集合場所である。成都市は、社区サービスセンターの内部構成について、統一された標準があることを明らかにした。社区サービスセンターは住民の相談窓口の役割も果たしている。社区サービスセンターの業務内容は高齢者・障がい・子ども・子育てなど各福祉分野すべてにわたっている。高齢者と子どもは、特に重点的に取り組んでいる分野である。また、社区サービスセンターは、行政と住民の間に仲介している存在ともみられる。社区は公的制度の狭間の問題への対応のあり方、居住問題などに関する支援はもちろん、住民の自治を促す機能を果たしている。③さらに、成都市において、二つの社区を選び、ケーススタディの研究手法を用い、社区の最高指導者に半構造化インタビューを行った。インタビュー時間は45分程度であり、場所は社区サービスセンターである。社区の活動は概ね社区主導と住民主導の二つがあるが、近年、社区主導の活動が少なくなっている傾向がある。また、地域の福祉力として、地域住民、社区発展治理委員会、網格員、企業、住民環境評価委員会、専門分野委員会、ボランティア委員会があることを明らかにした。さらに、社区の財源を明らかにした。社区財源は、主に社区発展保障資金、近隣互助金、公益性収入、政府購買金、の四つである。他には、募金、企業支援金、興味クラブ会費などがあることが分かった。社区は、住民の日常生活を豊かにする上に、地域問題の発見及び対応に工夫する。例えば、ポイント制度により、地域住民の活動参加を促進する。「光栄の家」という名誉名称を設置することにより、世帯単位の協力を得ることがある。実地調査を行う際に、茶屋四郎次郎記念学術学会倫理指針を遵守して実施した。その他、筆者は日本学術振興会の倫理綱領を厳守する。 第四章では、社区全体像を明らかにし、考察を記した。成都市は、中国で唯一専門的な社区発展治理委員会を設置し機能させている。中国では「社区福祉」という言葉はまだ通用していない。社区は「地域特徴があり、日常生活圏域を基づく地域の発展に向けて、住民の合意を形成し、行政の介入による自治型地域福祉を推進するところである」、福祉は「幸せ」である。さらに、「住民主体」「行政協働」「全世帯型」「連携」という地域福祉の要素が今回の実態調査で現れているし、社区業務は「国民の幸せな生活を実現する」ためのものであり、社区型地域福祉であろう。また、地域の捉え方及び福祉圏域としても、社区サービスセンターは住民の身近なところに設置することは必須である。具体的には、住民は自宅から社区サービスセンターまで歩いて15分距離で設定されている。中国の社区福祉の圏域範囲は、日本の地域包括支援センターのサービス範囲に相等すると言ってよい。さらに、成都市の現状において、社区行為に関する「社区機能」「社区治理」「社区統合」を考察した。地域の生活支援提供体制として、社区は福祉・就労・家計再生などのサービスを提供する一方、複雑化する生活問題にも対応する機能があることを確認した。さらに、今回の研究で明らかにした①社区発展治理委員会、②社区サービスセンター、③社区プロセス、における全体像を図化にした。地域福祉の実現は、自立生活が困難な個人や家族が、自立生活ができるように、地域から必要なサービスを受けることである。そのためには、社会資源の活用と社会福祉制度の確立が必要であり、それは構造的アプローチと機能的アプローチの相互補助を意味する。成都市の場合、a構造的アプローチとして、社区発展治理委員会の業務内容を挙げられる、b機能的アプローチとして、居民委員会に基き社区サービスセンターの運営が挙げられる。今回の社区全体像として、第一に、社区発展治理委員会(構造的アプローチ)と社区サービスセンター(機能的アプローチ)は相互的に協働すること、第二に、地域活動や財源など社区プロセスの支援を欠かしてはいけないこと、それらが成都市の社区全体像といえる。以上のように、地域福祉の構成要素を整理することで、社区の全体像は「地域福祉」そのものと言える。本稿では、以上述べてきた社区の全体像を広く、中国の特有の呼び方で「社区福祉」と名称することを考察する。 第五章では、本研究の実践課題を記述した。実践課題として、本稿では、1)中国における社区福祉の課題と、2)日本における地域福祉の課題、を記した。まず、1)中国の社区福祉について、課題を①専門職、②自治と記述した。まず、①専門職に関する問題は今回の研究だけではなく、他の先行研究でも言及した。社区に配置している専門職の専門性が低い一方、今回の研究では、配置した専門職の人数でも欠如していることが分かった。いわゆる、専門技術であるソーシャルワーク自体の欠如が問題となっている。また、②自治に関して、中国の場合、従来、党の統制があるので、社区は住民自治と認識したが、その自治はどこまで進展しているのかを再検証する必要がある。今回の研究で、成都市の社区に関する行政・社区書記の話を収集した。自治の方向性があったが、行政の影響も確かに存在していることが分かった。特に地域活動の場合、住民自身でも好きな活動を行っているが、社区は行政の意思で活動を行うこともある。次、2)日本の地域福祉について、課題を福祉範囲及びワンステーションと記述した。福祉範囲は地域の福祉を推進する際に重要な区域である。地域は人間が生活して行くために必要不可欠なライフラインであり、それが崩壊すると、住み続けることができない。その際、福祉の地域範囲の設定が重要である。広すぎると、連携は難しく、ニーズの発見も難しい。既存している地域社会の範囲は、市町村から町内会まで4つの地域空間がある。一方、中国では、社区サービスセンターを中心に、歩いて15分程度で設定していることが分かった。地域福祉の中核となる概念を原点に遡ると、自治型地域福祉である。中国の社区福祉において、行政が定める中長期の福祉計画はない。網格員の活用により、住民ニーズの収集を効率的に行っている。地域の福祉を推進する際に、住民参加を望めば、住民が信頼できる場所を地域が用意する。そのことは大切である。すなわち、住民参加を促す環境づくりは重要なポイントである。中国の社区福祉は、住民のニーズを直接に言える社区サービスセンターという窓口を設置している。このような窓口の役割と場所の存在は日本の地域福祉に示唆できると考えている。ワンステーションの設置により、住民のニーズを直接かつ適確に把握することができるであろう。 終章では、研究の限界と今後の研究課題を述べた。本稿では、1)中国の社区現状を明らかにした上で、2)地域福祉というものが存在していること、を示した。従来、中国では、党の統制があるため、住民自治がないという誤解があったが、今回の研究で、社区範囲であれば自治ができていることがわかった。社区は住民に向けて多様な業務を展開し、住民たちは安心して暮らすことができる。さらに、社区サービスセンターは連携の中心となって、民間機関や行政機関と協力することで、社区内にある様々な地域問題を解決するために動いている。さらに、説明を続ければ、まず、1)社区には、居民委員会、会社や企業、社会組織、ボランティア組織など、さらに一部の住民が設立した環境評価委員会や衆愛ノ家(麻薬回復者)のような組織がある。2)それらの組織の間に、社区サービスセンターは、組織と組織の関係、住民と行政の関係を調整する。また、3)社区の住民の構成は複雑であり、日常生活の衝突を避けられず、協調メカニズムを確立する必要がある。地域問題はその場で解決する旨で、それは居民調解室と網格員の特徴である。最後に、4)社区の公共事務は、社区発展治理委員会の監督及び指導の下で行い、他の地域活動は居民の意見を反映できるように促す。5)社区の日常運営方向は住民が集団的に選択するものであり、それこそ住民の利益を代表する。行政は社区の選択を尊重かつ推進し、社区の自治を実現させる。今後課題であるが、中国の社区福祉の発展について、専門職の育成は大事であり、どのように専門性を向上するかが検討の余地がある。さらに、研究の限界であるが、今回のインタビューは社区書記のみであり、住民主体福祉であるが、社区福祉の現場が実際にどうなっているのかまでは検証していない。また、今回の場合、ただ一つの都市(成都市)で実証研究を行い、社区全体像というのは、一つの都市の全体像しか言えない
Databáze: OpenAIRE