「売上高・売上原価対立法」を巡って : 安平説,木村説,田中理論の検討を通して

Jazyk: japonština
Předmět:
Zdroj: 経済系 : 関東学院大学経済経営学会研究論集. 273:1-25
ISSN: 0287-0924
Popis: 本稿は,「売上高・売上原価対立法」(以下,「売上原価法」)のルーツを探訪する途上で出合った,印象深い先学の見解・学説の一端を纏めたものである。安平昭二によれば,その処理法は,商品の仕入を交換取引として,商品の販売の際に,一方で売上高という収益が,他方で“消費は費用" と捉えて売上原価という費用が,同時に発生する取引として,処理する。木村和三郎は,昭和初期,「取引はすべて等価交換取引で,運動の経過とともに費用収益に転化する,と徹底した動的見解を展開した」が,その過程で,“観察可能な" 日常取引と決算取引(損益構成への参加)とを峻別すべきことを強調した。田中茂次は,「売上原価法」を「深層構造がそのまま表層構造に現れた」処理法であると説くとともに,生産過程における“原価の流れ"(実体内取引)と流通過程における実体間取引とが「同型性を持つ」と明言する。その処理法は,深層(生産過程)と表層(流通過程)とを“連結する"。Garcke=Fells が製品売上ごとに示した仕訳記入の考え方と「売上原価法」とは“通底する",とみなし得る。かくして,「売上原価法」は工業会計の発展と動態論思考の影響の下で誕生した,と推察される。
Databáze: OpenAIRE