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【背景・目的】精索静脈瘤は男性不妊症や陰囊痛の原因となり, 手術により造精機能の回復や疼痛の消失が期待できる疾患と認識されている. 近年, 浅鼠径輪より末梢レベルで顕微鏡下に静脈を処理する顕微鏡下低位結紮術が, 低侵襲で再発率の低い手術手技として普及してきている. 今回当院で施行した同手術の手術成績を検討した. 【対象と方法】2004年3月から2013年11月までに当院にて精索静脈瘤が原因と診断した男性不妊および陰囊痛患者に対し顕微鏡下低位結紮術を施行した51例を対象とし, 患者背景, 手術時間, 手術所見,治療効果を検討した.対象症例の年齢は中央値32歳,両側症例は2症例,男性不妊症例は26症例,陰囊痛症例は25症例であった. 【結果】手術は全例で左側のみに対して行われたが, 両側症例でも左側の手術により右側の静脈瘤も消失した. 手術時間は86.1±21.9 分(平均±SD) であった. 動脈温存数は1本が73%, 2本が15.7%, 3本は2%であった. 9.8%で動脈の同定ができず, その80%が疼痛症例であった. 精巣萎縮を来した症例は無かった.疼痛は手術を施行した全症例で改善した.再発は1症例に認め,再手術を要した.合併症は1症例にナットクラッカー症候群による一過性血尿, 60%に一過性軽度陰囊水腫を認めたのみで重篤なものは無かった. 不妊症で手術を行った症例の60%で精子濃度および運動率が改善し, 27%で精子濃度,運動率, 奇形率のいずれかが改善し, 総合的には87%の症例で精液所見の改善が認められた. 【結語】男性不妊症または陰囊痛を主訴とする精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術により, 精液所見の改善を87%に認め, 陰囊痛は全例で改善した. 同術式による精索静脈瘤治療は有効な治療法であると考えられた. |