北海道内の産婦人科および小児科医師数の減少が死亡率に及ぼす影響

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2010
Předmět:
Zdroj: 厚生の指標. 57(2):24-30
ISSN: 0452-6104
Popis: 雑誌掲載版
目的 近年,全国的な問題となっている周産期医療に携わる医師不足について,北海道内の二次医療圏別の産婦人科・小児科の医師数の推移を把握し,また,医師数の減少が周産期に関わる死亡率にどのような影響を及ぼしているかについて明らかにすることを目的に調査を行った。方法 北海道内の21の二次医療圏ごとに産婦人科および小児科の医師数,死亡の指標として乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率を集計した。医師数と死亡率の関係については,1995〜2000年,2001〜2006年の各々6年間の平均値として医師数と死亡率との相関解析を行った。新臨床研修制度導入の前後比較については2001〜2003年および2004〜2006年の医師数増減比および死亡率比を用いて解析した。結果 北海道内の医師数は,全診療科(総医師数)では1996年から2006年の間に12.6%増加している一方で,産婦人科は439人から359人と18.2%減少した。2006年における人口10万人当たりの産婦人科医師数および小児科医師数は,多くの医療圏で全国平均を大きく下回った。1995〜2000年と2001〜2006年の平均値比較で,乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率は,一部の医療圏で増加を認めた。医師数と死亡率との相関では,1995〜2000年において小児科医師数と新生児死亡率との間で相関係数r=-0.435(p=0.049)と有意な負の相関を認め,産婦人科医師数と周産期死亡率との間でr=-0.379(p=0.090)と負の相関傾向を認めた。2001〜2006年において小児科医師数と乳児死亡率との間でr=-0.395(p=0.077)と負の相関傾向を認めた。新臨床研修制度導入前後の産婦人科医師数増減比と新生児死亡率比の解析においてr=-0.509(p=0.022)と有意な負の相関を示した。近年の産婦人科,小児科の医師数と死亡率の負の相関傾向,および産婦人科医師数の増減と新生児死亡率比の有意な負の相関が見られたことから,近年急速に産婦人科および小児科の医師数が減少しているいわゆる医療過疎地域では,今後一層,乳児死亡率や新生児死亡率,周産期死亡率の悪化が予測された。結論 医療過疎地域における将来的な周産期指標の悪化が懸念されることから,医療資源の確保とともに周産期医療に適した医療圏,医療体制の整備が必要である。
Databáze: OpenAIRE