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In this research, we investigated the applicability of methods that estimate the 3D resistivity structure using 2D resistivity survey data to numerical and field experiments. When the resistivity structure is in 3D and does not match the assumption of 2D inversion, the resistivity distribution derived from 2D inversion can result in artifacts. However, 2D inversion using 2D resistivity survey data can estimate the depth of the target body with orthogonal survey lines after estimating the length of the target body with parallel survey lines. Moreover, 2D difference inversions from multiple 2D resistivity survey data could estimate the vertical and horizontal water flow and help in 3D modeling of nonuniform sequential recharging. When 3D inversion of 2D resistivity survey data is conducted, parallel lines are useful to highlight areas of particular interest where further detailed work with an intersecting line should be carried out. The 3D inversion of 2D resistivity survey data is more suitable than 2D inversion to describe the 3D phenomena associated with groundwater recharge. This method can be applied to monitor relatively fast infiltration in the vadose zone. Moreover, 3D simulations of the groundwater flow and 2D resistivity survey can estimate high hydraulic conductivity locations. Although these methods use 2D resistivity survey data, 3D information of the subsurface can be estimated considering proper line arrangement, estimation order, or a combination of simulations.地震あるいは洪水により発生・拡大する、ため池や農地の内部における損傷領域は堤体や地盤の安全性低下や湛水不良の原因となるため、早い段階でその領域を特定して必要に応じた対策を施す必要がある。土中の損傷領域を地表面から直 接検出することには困難があり、直接視認できる掘削も可能でない場合が多い。非破壊調査法の一つである電気探査によ る比抵抗モニタリングは、地盤内の浸透を可視化できるため有効な手段である。土中の損傷領域は 3 次元構造を有するため 3 次元探査が望ましいが、測定コストや測定時間に制約があるため、迅速に測定ができる鉛直 2 次元電気探査データを用いて評価することが必要となる。本論文は、電気探査の 2 次元探査データを用いた鉛直 2 次元/3 次元解析および浸透解析を援用して損傷領域を推定する手法の提案を目的とする。主要な研究成果は、次の 5 点に要約される。探査データの 2 次元解析に基づく提案法では、地震あるいは洪水で発生した土中の亀裂に石灰水を注入し、亀裂に対して平行および直交測線で 2次元探査を行い、注入前後の比抵抗変化から亀裂範囲を簡易に推定する。数値実験および模型実験より、亀裂に平行な測線において比抵抗変化がある水平範囲はモデル亀裂長さに対応すること、および亀裂に直交す る測線において亀裂長さより亀裂深さが小さい場合は、注入材料の深度方向への広がりを推定できることを明らかにした。以上の結果から、2次元解析では結果に偽像が含まれることがあるが、亀裂に平行な測線からその水平範囲を推定し、その結果に基づいて直交する測線から鉛直範囲を推定することの有用性を示した。水田の漏水など地表からでは検出が困難な土中水の 3 次元浸透を簡易に把握することを目的として、地下水涵養試験において井桁状に配置した 4 測線で連続的に 2 次元探査を行い、2 次元の比抵抗変化率分布を解析した。涵養開始後の比抵抗変化はおおむね飽和度の変化を反映していること、不均一な涵養状況を反映していることが示された。これらの結果 から、複数測線の 2 次元解析により、土中水の鉛直および水平方向への浸透を含めた 3 次元の涵養状態を経時的かつ簡易に把握できることを明らかにした。探査データの 3 次元解析により推定する手法においては、高密度に探査測線を設置することが一般的であるが、3 次元解析のための効率的な 2 次元探査の測線配置法を提案した。数値実験の結果から、平行測線配置は対象物のおおよその位置を特定するのに効果的であり、直交測線配置は交差点の周辺で対象物の検出に最適であることを明らかにした。屋外試 験では平行測線に直交測線を追加した場合、推定位置は改善されること、現地適用試験では 2 つの直交測線のみの 3 次元解析でも、断層を低比抵抗帯として検出できることを検証した。これらより、平行測線によって特定の位置を検出し、交差測線によってより詳細な探査を実施することの効率性を示した。3 次元の浸透状況を推定するため、地下水涵養試験において、複数の 2 次元探査結果から 3 次元の比抵抗変化率分布を解析した。複数測線の 2 次元探査データを用いて 3 次元解析を行う場合、異なる時刻で得られた 2 次元データを同時に用いるため、異なる時刻の浸潤領域が重なりあった比抵抗分布を得る。ここでは、2 次元探査データの組み合わせを変えて 3 次元解析を行った結果、時刻に依らない不均一な比抵抗分布が明らかとなった。これにより、2 次元探査データであっても、それらの 3 次元解析によって、より正確な浸潤領域が把握できることを示した。探査データの 3 次元解析であっても測線数が少ないと偽像が生じ、比抵抗変化率分布のみからでは高透水部の推定が困難な場合がある。これに対し、地下水涵養試験において浸透流と電気探査の 3 次元解析を用いて高透水部を推定する手法を提案した。本手法は、複数の浸透モデルから計算された水分量分布に対して、2 次元探査を実施し、得られた計算探査データと現地探査データを比較することで、最適な湛水不良モデルを選択する。数値実験において、最小誤差を与えるモデルの高透水部の位置は、漏水位置と一致することを明らかにし、地下水涵養試験の現地実験において、不均一な湛水状況を推定できることを新たに示した。以上から、提案法は、本来は 3 次元に分布する土中の損傷領域を、容易に収集できる 2 次元探査データから効率的に推定することを実現し、迅速な機能診断や災害復旧活動を可能にした。本法は災害対策技術に貢献することが期待される。なお,本論文は京都大学大学院農学研究科学位審査論文であることを付記する。 |