「日本株式会社」を審査する:再考 : 法人企業統計から日本経済長期停滞の要因を探る

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2023
Předmět:
Zdroj: 金融・資本市場リサーチ. :95-121
Popis: 法人企業統計は個別企業の損益計算書や貸借対照表の数値を集計したものであるから、これをひとつの企業(「日本株式会社」)とみなして分析を行うことが可能である。著者は「「日本株式会社」を審査する」(2016年1月)において、2014年度までの法人企業統計を素材として日本経済の長期停滞の要因分析を試みたが、本稿は「アベノミクス」の期間を含む直近の2021年度までのデータを含めて分析をアップデートしたものである。分析結果を要約すると、企業セクターから見た日本経済長期停滞の主因は、一人当たりの投下資本である資本装備率の停滞(投資の低迷)であり、それは生産性の停滞(イノベーションの低迷)に起因している。投資しなかったのはイノベーションの低迷により期待資本収益性が上がらず、儲かる算段が立たなかったからである。特に、グローバル資本市場の一体化が進み、資本に対する要求利益水準が平準化してくると、生産性(TFP)の向上が投資、さらには成長を決定づける度合いがますます強くなる。生産性の向上を迫らずに「攻め」の投資だけを促しても、投資のリターンが上がらずに資本収益率が低下し、持続可能な成長は生まれない。
Databáze: OpenAIRE