Autor: |
Toyoizumi, Ryuji, Fukuda, Hiroyuki, Matsushita, Susumu, Takeuchi, Shigeo |
Jazyk: |
japonština |
Rok vydání: |
1996 |
Zdroj: |
年報. :21-47 |
Popis: |
両生類胚の左右性は、既に2細胞期から「左半球の優位」という形で潜在的に備わっていることが、Spemannとその弟子たちの今世紀初頭の実験から明らかにされている。一方、ラット胚においては胚に内在する左右性は少なくとも神経胚期までは変更可能であることが、Fujinagaらの最近の一連の研究によって明らかにされた。彼らは、交感神経刺激剤として開発されたphenylephrine等を加えてラット胚を全胚培養中すると、最大50%の高率で内臓逆位が引き起こされることを発見した。では、早くも2細胞期に既に左右性を内在しているカエルでは、内蔵器官の左右性の成立のメカニズムはいつまで可塑性を持つのであろうか?脊椎動物内部で左右軸の成立機構はどの程度の共通性があるのであろうか?本研究は、哺乳類以外の脊椎動物でも交感神経刺激によって後天的に内蔵逆位が引き起こされるか否かについて、アフリカツメガエル胚やニワトリ胚を用いて検討した。塩類溶液中で培養可能なアフリカツメガエル胚を、脊椎動物のアドレナリン作動性神経伝達物質norepinephrineやoctopamineで曝露処理しながら飼育することで、果たして内蔵逆位が生じるか否かについて実験を行った。その結果、神経胚期のツメガエル胚をnorepinephrine溶液に曝露すると、高率で心臓や腸管に逆位が誘発されることが判った。神経伝達物質octopamineでも逆位胚が有意に生じた。神経胚期から神経管期のツメガエル胚のCa^-ionophore処理でも最大50%の高率で内臓逆位が生じた。カエル胚のnorepinephrine処理やCa^-ionophore処理では、普通胚では1127例中1例も見出されなかった「心臓が正位だが腸管は逆位」の胚が総計981処理個体中、22個体得られた。Ca^-ionophore処理においては、早くから暴露処理を開始すると逆位発生率はむしろ低下した。また、鳥類胚を卵殻外で3日胚まで簡便に培養する方法を開発し、鳥類胚を交感神経刺激剤に暴露しながら全胚培養することで心臓逆位が誘発出来るか否かについても検討した。ニワトリの種卵を交感神経刺激剤phenylephrineで刺激しながら培養すると低頻度ながら心臓逆位が生じることが判った。これらの結果から、ツメガエル胚の内蔵の左右軸は、神経管閉鎖前後の時期まではアドレナリン作動性交感神経伝達物質に均一に曝露することで変更可能な可塑性を持つことが分かった。アドレナリン作動性伝達物質受容体への刺激とそれに引き続いて生じる細胞内Ca^濃度の上昇を介した、ある神経性のメカニズムの支配下に脊椎動物胚の内蔵器官の左右性の決定機構が存在することが示唆された。 |
Databáze: |
OpenAIRE |
Externí odkaz: |
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