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本研究では、都市部3地域の高齢者に共通する社会活動への参加に関連する要因を明らかにすることを目的とした。すでに、大阪調査、千葉県の市川調査に基づいたそれぞれの研究によって、各地域の高齢者(65~84歳)の社会活動への参加に関連する要因が報告されている。そのため今回は、東京都区東部に在住する高齢者(65~84歳)を調査対象として検討し、この結果と、大阪調査、市川調査すべてに共通する要因を明らかにすることにした。今回の調査は、東京都区東部の高齢者1,200人を対象に、自記式調査票を用いた郵送調査を実施した。その結果、有効回収数(率)は500票(41.7%)であった。社会活動は、橋本ら(1997)の社会活動指標のうち、個人的活動の側面、社会的活動の側面、学習的活動の側面を使用した。多変量解析による分析結果と、大阪調査、市川調査の結果を比較検討し、共通する要因が次のように明らかになった。個人的活動を促進させる要因は、外出時のからだのつらさがないことであった。社会的活動を促進させる要因は、居住年数が長い、地域社会への態度の得点が高い、親しい友人や仲間の数が多い、外出や活動参加に誘われることであった。学習的活動を促進させる要因は、活動情報の認知の程度が高いことであった。都市部における高齢者の社会活動への参加を促進していく際には、特にこれらの要因を考慮していく必要がある。 |