Popis: |
本研究の目的は,緊急帝王切開となった高年初産婦で産後の身体的回復の経過が対照的であった2事例の産後4か月間の睡眠と身体症状の変化の実態を明らかにすることである. アクティグラフを用いた客観的活動量の測定,半構造化面接,睡眠や授乳状況等を記載する生活活動日誌のデータをもとに分析を行った. その結果,事例Aは夜間の睡眠が分断される状態が産後4か月まで続き,身体的回復は産褥早期は順調であったが,産後4か月にかけて悪化し,強い疲労感と創部の治癒遅延や下痢症状などの身体症状を訴えた.それに対して,事例Bは産後1か月の時点で断続的な睡眠となることへの不満を述べ,日中の活動が鈍くなるという疲労の傾向がみられたが,その後産後4か月にかけて夜間の睡眠がとれるようになり,産後2か月から4か月にかけて順調に回復している様子がみられた. 以上の事例比較から,帝王切開分娩後の身体的な体調の回復が進まないことにより,強い疲労感,創部の治癒遅延,下痢などの身体症状が産後4カ月においても悪化することが明らかになった.そして,体調の回復には夜間に継続的な睡眠をとり,産後1か月ではサポートを得ながら日中でも休息をとる必要があることなどが示唆された. |