<書評>ブランダムの推論主義における他者理解と客観性の問題 (書評:白川晋太郎 (2021) 『ブランダム 推論主義の哲学』 (青土社, 338 頁))
Jazyk: | japonština |
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Rok vydání: | 2023 |
Předmět: | |
Zdroj: | Contemporary and Applied Philosophy. 14:80-98 |
ISSN: | 1883-4329 |
Popis: | 本稿は白川(2021)『ブランダム 推論主義の哲学』の書評論文であり、特に同書第五章で行われる「〔他者の言葉の〕理解についてのブランダムモデル」(p. 179)の定式化とその評価を主な議論の対象とする。白川は当該の章において、他者の言葉を理解するということがブランダムの推論主義ではどのように扱われうるかを説明し、そこに「他者が自身と異なる相容れない仕方で言葉を使っていることに対し、安易な批判をすべからず」とでも表現できるような倫理的教えを読み込んでいる。本稿では、こうした倫理的教えの読み込みはしかし、ブランダムの哲学が他方で有する、語・概念運用の正しさについての客観性を担保しようとする志向と衝突するのではないかという問題を指摘する。そのうえで、ブランダムの議論からこの問題への解決策を得るためには、『プラグマティズムはどこから来てどこへ行くのか』において彼が自身の師ローティによる「私的・公共的ボキャブラリーの区別」を用い、目的の異なる複数の言説間の通約不可能性について論じている箇所を検討することが有用である、という提案を行う。本稿の最終的な結論は、当該の倫理的教えがブランダムに整合的に読み込まれうるかどうかの問題は、言説についてのローティ的多元主義をブランダムが整合的に受容できるかの問題に帰着する、というものである。 本書評論文は、2021年8月6日に行われた「白川晋太郎『ブランダム 推論主義の哲学』オンライン合評会」での筆者の提題に、加筆修正を施したものである。 |
Databáze: | OpenAIRE |
Externí odkaz: |