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新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い、学校における非日常の生活が続き3年目を迎えようとしている。経済産業省が先行した「GIGAスクール」構想の前倒しにより、児童生徒一人一人に端末が配布されICTを活用した教育は必須となっている。2020年文部科学省初等中等教育分科会資料「新型コロナウィルス感染症を踏まえた、初等中等教育におけるこれからの学びの在り方について」では、非常時の対応として、遠隔・オンライン教育やICT等を活用した家庭学習、地域社会の専門機関等との連携の必要性が示された。特に、「WITHコロナ」(感染症が収束しておらず、必要に応じて臨時休業等が行われる段階)における学びの保障、「ポストコロナ」(新型コロナウィルス感染症が収束した段階)における対面授業と遠隔・オンライン教育のハイブリット化を目指し、新型コロナウィルス感染症の対応で混乱する学校現場に、ICTを活用した新たな時代の学びの保障という大きな実践的課題が押し寄せているといえる。しかし、2021年7月には全国の自治体の96.1%が端末の整備を完了し、全国の公立小中学校の96.4%が端末の利活用を開始した。 本論文は、文部科学省が打ち出した「令和の日本型学校教育」と経済産業省の教育プロジェクト「未来の教室」の双方が主張するICT等の活用によるオンライン教育の可能性と課題を考察する。具体的には、コロナ禍において端末を活用した授業のモデルケースを展開したといわれる熊本市教育委員会等の先行的な取り組み、コロナ禍を経験した稚内市の中学生を含むオンライン教育に対する意識変化、不登校・貧困やヤングケアラーなどやむを得ずオンライン教育を受けられない事情にある生徒の実態を考察し、「ポストコロナ」におけるオンライン教育の可能性と課題を考察する。 |