Asahikawa and Yoshida Hatsusaburō's Bird's eye Sightseeing and Route Map of Asahikawa

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2023
Předmět:
Zdroj: 日本研究 = NIHON KENKYŪ. 66:179-213
ISSN: 2434-3110
Popis: 本稿では、美術家・吉田初三郎(1884-1955)の制作活動に対する理解を深めることを目的として、印刷折本『旭川』(1930年)と、その中に収録された「旭川市を中心とせる名所交通鳥瞰図」を取り上げた。 まず、書誌情報や先行研究を把握した後、『旭川』の各部、すなわち表紙・表紙裏・概要面・鳥瞰図面の掲載内容を確認した。『旭川』は、旭川商工会議所の注文によって制作された。旭川商工会議所発行の書籍『伸びゆく旭川』(1929年)との比較などから、『旭川』の特徴を述べた。 次に、『旭川』には、一部のみ掲載内容が異なる版(以下、「異種本」)が50種以上も存在することについて、各種の違いを、12種の調査結果をもとに紹介した。また、『旭川』と同一の鳥瞰図を収録する印刷折本『みなとの留萌と旭川』(1930年)について、掲載内容を確認した。 さらに、同時期の『観光春秋』や旭川新聞記事から、『旭川』制作にかかる初三郎の動向などについて確認した。旧留萌町に初三郎が滞在した記録が確認できないことや、初三郎が大雪山・層雲峡に深く関心を寄せたことについて言及した。 以上の調査から得た情報をもとに、1)「旭川市を中心とせる名所交通鳥瞰図」において旧留萌町が強調されたのは、注文主である旭川商工会議所の意向による可能性が高いこと 2)『みなとの留萌と旭川』の制作背景には、旭川商工会議所と留萌商工会の協力関係があったと推定されること 3)『旭川』の全体構成のなかで大雪山と層雲峡がとりわけ強調されたことについて、初三郎の意向が反映された可能性が高いことを指摘した。 『旭川』および『みなとの留萌と旭川』は、国際日本文化研究センターの「吉田初三郎式鳥瞰図データベース」において公開されているほか、各地の図書館や博物館が所蔵していることから、資料紹介の意義は大きいと考える。
Databáze: OpenAIRE