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加速する超高齢社会において高齢者は,健康をセルフケアすることが求められている。本研究では,地域で生活する嵩齢者7名を対象にストレスを解消し安寧をもたらす技法の一つであるハンドマッサージを行い,その癒し効果を検証することを目的として,介入前後の比較研究を行った。その結果,心地よさは有意に上昇した。Profile of Mood States 2nd日本語版短縮版(以下,POMSとする)下位尺度では,「緊張-不安」が有意に低下する一方で,「活気-活力」も低下し,「疲労-無気力」が上昇した。交感神経指標LF/HFの効果量rは中程度に低下し,副交感神経指標のHFの効果量rは中程度に上昇した。鼻尖部皮膚表面温度は介入直後に有意に上昇した。また,ハンドマッサージによる心地よさの変化量は,ハンドマッサージ前のPOMS「抑うつ-落込み」項目の「自分では何もできない」,「疲労-無気力」項目の「うんざりだ」と有意な正の相関が確認できた。また,「友好」項目の「他人を信頼する」,「活気-活力」項目の「積極的な気分だ」と有意な負の相関が確認できた。また,LF/HFと有意な負の相関が確認できた。介入前に抑うつや無気力な気分を少しでも感じている場合に癒し効果が表れやすく、活気にあふれ交感神経が優位な場合には癒し効果が表れにくいことが推察された。しかし,「疲労-無気力」の上昇および「活気-活力」の低下がみられたことから,高齢者を対象とする場合は,待ち時間を考慮して実験を計画する必要性が示唆された。 |