耐障害性の高い非常時一斉メール送信と冗長化した蓄積型配送を実現するメッセージングシステムに関する研究

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2017
Předmět:
Popis: 近年,パソコンや携帯電話などの情報端末の低価格化や通信手段の多様化により,人から人に非常に手軽にメッセージを送ることができるようになった.またメッセージを送るツールも数多く存在している.例えば,電話やファクシミリ,電子メールや Twitter,LINE などのコミュニケーションツールがあげられる.文字だけでなく音声や画像,動画なども手軽に送ることが可能となっている.メッセージを送る場面も伝言や待ち合わせの確認といった日常的な場面で利用されるだけでなく,重要なことがらや緊急の連絡手段としても私たちの仕事や生活になくてはならないものとなっている. 災害が発生したときの安否確認の手段として,インターネットを利用したいくつかのサービスが提供され,実際に2011年に発生した東日本大震災では多くの企業で利用された.安否確認システムは,電子メールやWebインタフェースを利用したものが多い.例えば,事前に登録された電子メールアドレス宛に一斉にメールで通知し受信者から返信を求めるものや,利用者がWebインタフェースから回答を入力するという仕組みになっている.企業ではこれらを利用して,従業員の安否を把握するだけでなく,災害後の業務再開に向けてとても重要な情報となっている.緊急時に連絡を取るためには,受信者に確実にメッセージを届けなければならない. 大学において学生は,大学が発行したメールアドレスを大学のメールサーバで閲覧しているケースもあるが,普段利用しているメールアドレスに自動転送して,転送先で閲覧しているケースも多い.さらに,メールアドレスを頻繁に変更する傾向にあり,その際に自動転送先に指定したアドレスの変更を忘れがちである.存在しないメールアドレス宛にメールを転送しようとすると,メールを転送できなかったことを示すエラーメールは,メールの送信者やメールサーバ管理者にエラーメールとして送られてくるが,転送設定者には何も通知されないために,転送エラーが発生していることに気がつきにくいため,無効なメールアドレス宛への転送が止まらないまま放置され,エラーメールが送り続けられている.本論文では,誤った転送設定により発生するエラーメールを抑制し,転送設定者に通知するシステムを提案する.具体的には,メールサーバがメールを転送する際に,転送したメールがエラーとなった場合に返送されてくるアドレスを,メールの転送を行っているサーバが受信できる形に書き換え,自動転送時にエラーが発生した際にエラーメールを受信してエラーが発生していることを把握し,受信者に連絡することが可能となった. 災害時に自組織のメールサービスを利用できなくなった場合でも,利用者が可能な限りメールの利用が可能となるシステムを提案する.一般的にはメールサーバのメールを受信する部分とメールを保存するスプールは一体化しているケースが多いが,これらを分離し,スプールは物理的に離れた複数箇所に配置し同期する.スプール部分の同期を行うためにネットニュースプロトコルを利用する.メールサーバが受信したメール1通を1つのネットニュースプロトコルの記事に変換して宛先メールアドレスに対応したニュースグループに投稿する.投稿された記事はネットニュースの記事として同期を行う他のサーバに配送される.利用者はアクセス可能なネットニュースサーバにアクセスしてメールを読む.これにより,自組織のメールサービスが利用できなくても,利用者はメールを受信することが可能となった. 2011年に発生した東日本大震災では,電話やメールはほとんど利用できなかったが,twitter は断続的に利用が可能であった.災害時に有効となる通信手段は,時代や災害の状況によって大きく変化するので,今後,災害が発生した場合にどのような通信手段が有効であるのかを現時点で想定することは非常に困難である.そこで本論文では,twitter やメール等,既存の通信手段を複数利用してできるだけ頑強にメッセージのやり取りを行えるシステムを提案する.日常的に利用されていないシステムを災害時に利用することは困難である.緊急時の利用を想定したシステムでは性能だけでなく使いやすさにも注目する必要がある.そこで,提案システムでは学習コストが少ない電子メールのユーザインタフェースを利用する. これらの方法を利用することにより,災害が発生しているような緊急時であっても,より確実に受信者にメッセージを届けることが可能となる.
Databáze: OpenAIRE