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本研究では,「授業」を視点としたネットワークの形成と学級組織の自己組織性の関連について取り上げ,その過程で,授業における自己組織化とそれに関わるネットワーク機能が,学級組織という社会システムの自己組織性にいかに関わるか,また,それがいかなる効験を示すのか考察することを目的とした。授業事例の解釈的分析から,以下の結果を得た。⑴ネットワークといった触媒機能によって,個やグループ内及びグループ間に幾度となくゆらぎが生成され,そのゆらぎに対する自己言及が繰り返されていた。ゆらぎに対する自己言及によって自己組織化が果たされると,個のレベルにおいては科学的概念が構成され,また,グループ内及びグループ間レベルにおいては協同的関係による学びの構築が図られるようになった。⑵科学的概念の構成と協同的関係による学びの構築は,それぞれが単独に進められるのではなく,あるときは科学的概念の構成過程で協同的関係による学びが誘起され,またあるときには,協同的関係による学びの構築過程で科学的概念の構成が誘起された。こうした自己組織性に働きかけるミクロ-マクロループの形成と相互作用がネットワークにより体現されたのである。 |