地域コーポレーションによるネットワーク形成機能と信頼醸成メカニズム
Jazyk: | japonština |
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Rok vydání: | 2021 |
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Popis: | 日本NPO学会第23回研究大会[2021年6月19日(土)~20日(日)、オンライン(開催校:東北大学)]における発表内容のフルペーパー 広域複合的な自然災害に加えて、コロナ感染症危機に直面する今日、それらの危機を管理し、地域コミュニティの暮らしを守るためには、パブリックセクター、プライベートセクター、ソーシャルセクターの別を超えて、それらの役割を兼有できる組織が必要である。地域型の複合企業−地域コーポレーション−は、パブリックセクター、プライベートセクター、ソーシャルセクターそれぞれに生じるニーズ(複合的なニーズ)に応えるビジネスモデルを立案して実施し、それらの成果を中長期的に統合する機能を有する。地域コーポレーションを体現するグリーンファンドグループは、アドボカシー、エネルギービジネス、市民啓発活動を実施し、石狩市におけるコミュニティウィンドファームを含む31 基の風力発電事業を推進している。その成功要因には、 (1)社会変革ビジネスモデル(加藤 : 2017b)、(2)非営利活動と営利事業を併有する経営形態(加藤 : 2017a)、(3)政策形成と地域ビジネスの統合機能(加藤 : 2020)、(4)セクターを横断するネットワーク(加藤 : 2016)がある。 本稿では、2018年に国際公共経営学会(The International Research Society for Public Management)で提起されたハイブリディティの理論と方法論を用いて、上記の地域コーポレーションが有するネットワークの機能を捉え直し、価値創造アプローチのレンズを通してその機能の特性を抽出した上で、特徴、成立条件、役割に分類して概念化することを試みる。 地域コーポレーションは、特有のネットワークを形成し、関係する個人、企業、自治体、地域社会に、協働の場(platform)から生まれるプロダクツとサービスを提供し(加藤 : 2016)、同時に、彼らの日常的なニーズに応答することによって信頼関係を構築する。このような地域コーポレーションが有するネットワークの特性(特徴、成立条件、役割の各項目)を、ハイブリッド組織の価値創造アプローチの3つの特徴−価値の混合(Mixing)、妥協(Compromising)、正当化(Legitimating)−と対照した結果、地域コーポレーションの特性は、それらのコンセプトを分有しているが、時系列に並ぶことはなく、複数のセクターの要素が重なり合う領域に、複数の要素を包含して出現していることがわかった。この複雑な社会活動や営利事業のロジティクスの要には、「信頼醸成メカニズム」がある。 この考察結果は、日本のハイブリッド組織の1事例を明示するとともに、ハイブリディティ研究の主題「ハイブリッド組織の価値創造メカニズムの解明」(Jarmo Vakkuri,Jan-Erik Johanson:2021b)における1つのアプローチを示唆する。 |
Databáze: | OpenAIRE |
Externí odkaz: |