マウス顎下腺におけるマルチホルモン調節系の分子生物学的解析

Jazyk: japonština
Rok vydání: 1991
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Popis: マウス顎下腺は男性ホルモンや甲状腺ホルモンなどの標的臓器として知られている。この組織には,表皮成長因子(EGF)や神経成長因子(NGF)などの他に,カリクレインファミリーに属するプロテアーゼが高濃度に存在している。マウス顎下線に存在するこれら生理活性に関与する蛋白質は,男性ホルモンや甲状腺ホルモンなどの変化に鋭敏に反応するため,マルチホルモン調節作用を解析するための恰好の実験材料として注目されてきた。特に顎下腺に存在する一連のプロテアーゼは組織特異的でしかもその測定法が容易であることから,ホルモン作用を解析するための指標酵素として用いられてきた。また顎下線から単離された数種類のプロテアーゼは,EGFやNGFなどの成長因子に結合する性質を持つことから,顎下腺に存在するプロテアーゼの機能として生理活性因子調節作用が示唆されてきた。単離されたプロテアーゼのアミノ酸配列をもとに,現在までに24種類ものカリクレイン様遺伝子がクローニングされ,遺伝子レベルからの機館解析も行なわれるようになった。近年分子生物学の著しい進歩により,多くのステロイドホルモン受容体遺伝子がクローニングされ,その結果ホルモン―受容体―遺伝子活性化に至る機構が次第に解明されるようになった。顎下腺に存在するEGF,NGF及ぴプロテアーゼは,組織特異的で,しかも複数のホルモンによる調節を受けることから,これら蛋白質をコードする遺伝子のホルモンによる転写活性化機構の解析を行うことは,組織特異的マルチホルモン調節機構解明のため重要である。本研究ではマウス顎下線に多種多量に存在するプロテアーゼに特に注目し,顎下線プロテアーゼのホルモン投与による影響を蛋白質レベル及び遺伝子レベルで解析した。
第I章に,ホルモン作用を有する薬物の簡便なスクリーニング法として,唾液プロテアーゼ活性測定法を,第II章に顎下線プロテアーゼの諸性質を明らかとするために行ったプロテアーゼ活性の基質特異性に基づく分類を,第III章にEGF,NGF及びプロテアーゼ遺伝子発現の解析を行った結果を記す。
富山医科薬科大学・薬学博士・甲第138号・黒澤信幸・1991/3/20
Databáze: OpenAIRE