中国チベット高原南東部プマユムツォ湖周辺のフロラ調査

Autor: Minami, Motoyasu, Tezuka, Takafumi, Zhu, Liping, Nishimura, Mitsugu
Jazyk: angličtina
Rok vydání: 2010
Zdroj: 植物地理・分類研究 = The journal of phytogeography and taxonomy. 58(1):50-56
ISSN: 0388-6212
Popis: 摘要 プマユムツォ湖は,中国・チベット高原南東部の北緯28°34',東経90°24',標高 5,030 m に位置する淡水湖で,標高5,000m 以上にある湖としては世界最大規模である。この湖は非常に高所にあり,軍事制限地域になっているため,これまでに湖周辺のフロラについての詳細な調査はされてこなかった。2006 年本湖周辺15 ヶ所でフロラ調査を行なった結果,24 科79 種(7 種が未同定)が確認され,そのうちキク科(11 種),カヤツリグサ科(8 種),ゴマノハグサ科(8 種),イネ科(6 種),アブラナ科(5 種)及びリンドウ科(5 種)が多数の種を含む主要な科で,残りの科はいずれも4 種以下であった。フロラ調査を行なった15 ヶ所について二元指標種分析(TWINSPAN)を行なった結果,指標種と植生の相違から以下の4 グループに分割できた。グループA は湖の島の湖岸を除く砂礫斜面全域と頂上のみで,乾生植物のArtemisia brevifolia, Corydalis hookeri 及びDelphinium caeruleum が指標種となる高山荒原であった。グループB は湖周辺に広く分布する腐食質が堆積しない比較的乾燥した場所に成立し,Androsace tapete が指標種となる高山ステップであった。グループC は未腐食質が堆積し,Pachypleurum nyalamenseが指標種となる高山草原であった。グループD は湖畔の土壌水分が飽和した湖岸で,湿生植物の Polygonum周辺の植生の違いは,土壌水分の違いと放牧による採食圧の違いによるものと推測された。
Databáze: OpenAIRE