Examination of the Calligraphic Works and Paintings as Entertainment During the 5th National Industrial Exhibition

Rok vydání: 2022
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Zdroj: 書道学論集 : 大東文化大学大学院書道学専攻研究誌. 19:85-97
ISSN: 1348-9313
Popis: 内国勧業博覧会における書の部門設置状況については、これまで佐藤道信をはじめとする多くの研究者が指摘しているように、書画から書と絵画に分離したことによって第五回内国勧業博覧会では書の部門が設けられることはなかった。一方で、第五回内国勧業博覧会には全国書画倶楽部が設置され、ここに書家も参画している。加えて泉布観では、藤澤南岳や森琴石など書画家としても著名な人々の手によって千瓢会が催され、さらに日本美術協会大阪支会による豊公遺物展覧会や東洋美術奨励会による全国新書画展覧会といった書画にまつわる催しが複数開催されている。しかし、これ以前の内国勧業博覧会の際に刊行された『博覧会案内記』には、管見の限り開会中餘興としてこうした展覧会が催されたという記述は見受けられない。一方で、明治五年から開催された京都博覧会では、開会中餘興の一環として書画揮毫席を設け、書画展覧会を開催している。このように、関西の博覧会ではこうした開会中餘興が定着していた。全国書画倶楽部や千瓢会などの催しは、まさに開会中餘興として第五回内国勧業博覧会に設置された。しかし、こうして併催された書画に関わる催しについて先行研究では言及されていない。本稿では第五回内国勧業博覧会開催中の催しに着目し、その実相を確認する。これまで、第五回内国勧業博覧会には書部門が設置されなかったことから、官製「美術」における書と絵画の分離を象徴する出来事として取り扱われてきた。一方でその開催の実態はこれと異り、博覧会開催を実行する人びとは公に含まれなかった書を「書画」として博覧会に付随する催しもの、つまり開会中餘興において展示している。したがって第五回内国博覧会に併催された催しを確認することによって、制度上では確認できない、当時の大阪における書をめぐる実相を確認することとしたい。
Databáze: OpenAIRE