Proposed research and design on Village reproduction in the earthquake disaster revival
Jazyk: | japonština |
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Rok vydání: | 2014 |
Popis: | 2011年の東日本大震災では、東北地方の沿岸部において津波による物理的な被害が出るとともに、震災を受け他の地域に移り住む住民が増える状況に陥り、いわゆる限界集落の問題が先鋭化した。この現状から、震災復興と共に、過疎地域の再生を考えていくことが重要であると言える。しかし実際には、早急に求められている復旧事業のみが進み、過疎問題に対する集落再生事業は立ち上がってきてない。そこでこのような背景をふまえ、本計画では、震災復興における集落再生を目的とした計画を宮城県石巻市泊浜地区において提案することとする。本論文は以下に示す6つの章で構成される。第1章では、東日本大震災後の復興計画と震災前からの課題である過疎問題について言及し、震災後約3年経った現在求められている計画について述べ、本計画の目的について論じた。第2章では、対象とする宮城県石巻市牡鹿半島全体と泊浜地区が震災以前より抱えていた問題と、震災による被害状況と復興事業について考察した。牡鹿半島は捕鯨地区や金華山を中心に1990年代まで観光地として栄えたが、2005年の人口は1960年の約36%まで減少し、2005年より石巻市は牡鹿総合支所を設け、生活サービスの補強を行ったが、人口減少に対する具体的な事業は行っていない。震災において牡鹿半島のほぼ全集落が浸水被害を受け、泊浜も港周辺と約31%の家屋が被害を受け、その後復興事業によってハードの復旧が進行しているが、住民の意向を十分に反映したものとはなっていない。以上より、牡鹿半島及び泊浜では震災復興とともに過疎問題に対する事業が必要であるとし、本計画の位置付けを行った。第3章では、総務省によって成功事例とされた過疎集落における集落再生事業について考察し、集落再生事業の全体計画の前提として以下の3つを定めた。「人の生活を支える、人を呼び込む、人を定着させるという段階を踏み、対象集落がどの段階にあるか把握する(前提1)」「集落単体ではなく集落の集合体の中でどのような事業ができるか考える(前提2)」「事業内容は集落の資質を見定めて計画する(前提3)」である。次に集落再生事例の中で建築デザインが積極的に行われている先進的な2つの事例を取り上げ、建築デザインの役割を考察し、次に挙げる3つの建築デザインの前提を定めた。「集落を空間的に把握し建築やランドスケープの使い方をベースに人と人を媒介する空間をデザインする(前提4)」「地域にある資質(潜在しているものや場所)から、普遍的な価値を発見し、それを空間を通して可視化する(前提5)」「時間軸に沿った変化を組み込んだデザインをする(前提6)」である。第4章では、第2、3章の結果をもとに、牡鹿半島泊浜における復興事業計画を示した。全体計画は、前提1より、泊浜は住民の要望とともに外部から人を呼び込む段階にきており、観光資源の存在より観光計画事業とした。また前提2より、牡鹿半島にある28の集落が協力し合う計画とし、前提3より、牡鹿半島全体にある観光資源を把握し、28集落に機能を分担させることで観光客が半島内を循環する計画を考えた。そして泊浜は、大人数を収容できる宿泊機能を持つため、宿泊機能を担当することとした。次に現地調査より以下の2つの分析を行った。前提4に基づき集落構成要素を整理した結果、集落を構成する44要素が抽出され(要素Aとする)、小さく高低差のある集落全体に性質の異なる空間が分散しているが、集落の中に不足している入浴の場、交流の場をつくる計画とした。さらに前提5に基づき、要素Aより集落の特徴を把握し、これを可視化する新たなデザインを導き出し、建築デザイン要素Bとした。前提6に基づき泊浜にある建築(住宅、納屋)の特徴を調査し、時間軸という視点から分析した結果、変化せず地域の伝統として受け継がれている要素(建築デザイン要素Cとする)と、時間軸に対応した建築変化が見られることがわかった。そこで、それぞれの変化に対応する新たな建築デザインを3種類に分類し、建築デザイン要素Dとした。第5章では、低平地利用計画、高台移転計画、第4章から導いた入浴の場を設計する温泉計画、宿泊の場を改善する憩いの家改修計画、交流の場を設計する空き商店改修計画の設計提案を行った。建築デザインは、第4章より導き出した建築デザイン要素A~Dの中から、それぞれに適切な要素を選択し組み合わせることで決定した。導き出された建築形態は、泊浜における地域の魅力と時間軸を組み込み、集落再生へとつながることを示した。第6章では、本研究で行った設計提案について総括と展望を示した。過疎問題を持つ被災地における復興再生事業の全体計画と建築デザインの役割を論じ、泊浜において具体的な設計提案を示した。集落再生事業計画の決定プロセスと時間軸に対応した建築デザイン手法は他地域に転用可能であり、震災復興事業計画に応用できることを示した。 首都大学東京, 2014-03-25, 修士(工学) |
Databáze: | OpenAIRE |
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