Difficulty in business succession due to changes in the environment of traditional industries -Case studies on ceramic distributors-
Jazyk: | japonština |
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Rok vydání: | 2022 |
Předmět: | |
Zdroj: | 商経論叢. 57(3):87-101 |
ISSN: | 0286-8342 |
Popis: | 事業承継事例では,一般に「成功物語」が取り上げられるが,事業承継に失敗したことはほとんど語られない。本稿は,家族による事業承継の失敗事例に焦点を当て,伝統産業として長期間継続してきた陶磁器産業を支持してきた流通業者を取り上げた。流通業者も長期間経営をしていると,さまざまな環境変化に遭遇する。われわれの生活において陶磁器が足りず,生活に潤いがない時代はそれらを取り揃えようとした。また陶磁器は旅館やホテルなどでの大宴会で幅広く使用された。こうした状況は,われわれの生活環境や社会生活が変化し,企業などでも陶磁器需要が減少することで一変した。これまで陶磁器流通を担ってきた事業者について,卸売業者では「犬塚家」を取り上げた。同家は18世紀半ばに事業を開始し,佐賀藩の政策的支援を受け,江戸を中心に事業を拡大させた。陶磁器卸は近代になっても製造を経済的にも支え,さまざまな情報を伝達することに貢献してきた。しかし環境変化が忍び寄り,破産するに至った。他方,小売業者では「たち吉」を取り上げた。同社はいわゆるバブル経済期には200億円以上の売上を誇ったが,中心の売場であった百貨店での販売が急減し,2000年代になると売上は最盛期の4分の1以下になった。同社はさまざまな施策により売上を伸張させようとしたが,事業を継続させるため,創業家は経営権を手放すことを決断した。両者の事業承継の失敗にはさまざまな示唆がある。わが国の伝統産業では,製造業者の規模が大きくないことが一般的である。そのため流通業者が販売し続けなければ,伝統産業を維持することはできない。伝統産業を守るために製造業者への支援が殊更強調される。ただ流通業者の事業継続にも焦点を当てるべきであることを示唆した。 Departmental Bulletin Paper 論説 |
Databáze: | OpenAIRE |
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