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口腔には種々のレンサ球菌が常在し、一部の口腔レンサ球菌は齲蝕、亜急性細菌性心内膜炎や誤嚥性肺炎を引き起こすことが知られている。従って、これらの疾患の発症リスクを評価するためには、簡便に採取できる唾液から各種口腔レンサ球菌を正確に検出することが重要な課題となる。本研究では、リアルタイム定量PCR を利用して唾液中の各種口腔レンサ球菌を定量的に検出することを試みた。15名の被験者から安静時の唾液を採取し、DNA を抽出した後、各種口腔レンサ球菌(Streptococcus mutans, S. sobrinus, S. salivarius,S. sanguinis あるいはS. mitis)を特異的に検出するPCR 用プライマーおよび全菌あるいは全口腔レンサ球菌を検出するユニバーサルプライマーを用いてリアルタイム定量PCR を行った。その結果、被験者15名の値から算出したS. mutans, S. sobrinus, S. salivarius, S. sanguinis あるいはS. mitis の全口腔レンサ球菌に占める割合は、それぞれ5%未満であった。また、全口腔レンサ球菌に占める割合は、S. sobrinus が5種類の口腔レンサ球菌の中で最も少ないことが明らかになった。本研究では、リアルタイム定量PCR を利用することによって、数種類の口腔レンサ球菌を同時に定量できることを示した。リアルタイム定量PCRを応用した唾液中の細菌数や割合の検査によって、将来的に、齲蝕や細菌性心内膜炎等の発症リスクを評価することが可能になるかもしれない。 |