ポリウレタンを用いた界面制御による複合材料の機械的特性に及ぼす影響の研究

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2015
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Popis: 繊維/マトリックス樹脂界面の接着強度は複合材料の力学的特性に大きな影響を与えると言われている。ガラス基材に対する力学的特性を向上させるために、機能性界面相の導入の検討を行い、重要なポイントとして、厚さ、傾斜構造を形成させることに着目した。界面相としてゴム状の柔軟性特性を有し、代表的なマトリックス樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂)と相溶性の良好なポリウレタンに着目し、無機繊維基材に対する表面処理剤として提案した。ポリウレタンは機能性界面相として傾斜構造を形成させるに適する大きな可能性を有しており、複合材料の機械的特性改善に効果的な適用方法について検討を行ったものである。また、一般的には複合材料を形成するのにシランカップリング剤が適用されており、薄層で化学的な界面接着要素での強度向上が通例化しているが、本研究では、上述のような特性を有するポリウレタンを界面相に適用することにより、ハイブリッドで傾斜構造を形成させ機能性を付与させる効果について検討を行った。界面相を形成させることにより、界面相を通じて3次元的に力学的特性を向上させ、複合材料の力学的挙動が制御可能であることを提案するものである。 以下に各章で得られた主な結果を示し本論文のまとめとする。 第2章では、熱可塑性エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として選定し、ガラスクロスに対し表面処理することで仮想界面を形成させ、複合材料の機械的挙動に与える界面相の影響について検討を行った。結果、表面処理を付与した複合材料は機械的特性が向上する傾向が見受けられ、動的粘弾性測定からでは界面相の存在により粘弾性挙動に特性差が現れることがわかった。しかしながら、マトリックス樹脂と同一の樹脂で表面処理を行っても大きく機械的特性を向上させることができないこともわかった。 第3章では、界面相と繊維/樹脂を結びつける手法として界面相にポリウレタンを適用し、柔軟性かつ相溶性のある界面を作り、界面特性を向上させることを検討した。界面相に傾斜構造を意図的に形成させ、得られた複合材料に与える機械的特性変化について検討を行った。結果、ポリウレタン樹脂を表面処理剤として繊維基材表面に処理すると、樹脂含浸性が向上し未含浸部分の発生を抑制する効果があることや界面相の層厚みが厚くなるにつれて界面相に柔軟性が生じ、力学的特性が変化することがわかった。動的粘弾性からでは、tan δの波形がブロードな波形を呈したことから、ピーク幅と引張強度に相関性があることがわかり、このことから界面相に緩和構造が現れている状態が示唆された。 第4章ではマトリックス樹脂を不飽和ポリエステル樹脂に変えた場合にも適合性を有しているかの検討評価を行った。結果、ポリウレタンで表面処理を行った複合材料について、力学的特性が向上する傾向を呈した。動的粘弾性測定から、界面相の相違が明確にわかる波形を得ており、不飽和ポリエステル樹脂の場合でも、界面相に緩和構造が現れている状態が示唆された。 第5章では、第3章、第4章での検討結果から界面相に傾斜構造を持たせることで、複合材料の力学的特性を大きく向上させる効果を発現させたことを受け、界面相に複合した傾斜構造(ハイブリッド傾斜構造)を形成させた複合材料の力学的特性について検討を行った。結果、力学的特性改善効果は界面相の傾斜構造が大きいほど界面相にかかる応力を分散させていることが動的粘弾性測定結果からわかった。ハイブリッド界面相を形成させることで複合材料の力学的特性を制御できることがわかった。 第6章では、ポリウレタンにて表面処理した界面相を有するガラス繊維基材を積層させた複合材料の力学的特性に及ぼす効果について検討を行った。その結果、表面処理未処理の複合材料と比較して、積層した場合においても樹脂含浸性が向上していることが確認できた。引張特性に関しては、強度面において、大きく向上させるのに寄与していることがわかった。衝撃試験の比較から、より大きな衝撃耐性を示したことから積層させた場合においても傾斜構造を有する界面相を通じて、マトリックス樹脂と繊維基材が相溶性の良さの影響で3次元的な拡散構造を呈している状態がわかった。 第7章では、本研究で得られた知見をまとめ、今後の展開について述べた。
Databáze: OpenAIRE