幼児期の仲間関係におけるユーモア行動を育む協働的保育の一事例-笑われる子から笑わせる子へ-

Jazyk: japonština
Rok vydání: 2021
Předmět:
Zdroj: 岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要. 54:9-18
ISSN: 2188-2770
Popis: 本論では、人を笑わせる行動(ユーモア行動)の多い幼児が、仲間関係において攻撃対象になりやすい傾向がみられたことから、園全体で支える保育を行ったことによる幼児の変化の一事例をまとめた。仲間との関わりの中で、ユーモア行動を見せては仲間を笑わせることの多い年長児のヒロキ(仮名)は、仲間から「笑ってもいい子」と見なされているのか、行き過ぎたツッコミによってヒロキが悲しみの表情を見せると、それすら笑われてしまう子でもあった。ヒロキに対するいじめに発展していく可能性を捨てきれないと判断した園長は、園全体でヒロキを支えていく必要があるとして、クラス担任と教職員が一体となって、ヒロキへ関わることにした。その約 2 週間後、いつものようにヒロキへの行き過ぎた行動が起きた時、ヒロキが初めて相手に対し、大きな抵抗を示し、大喧嘩となった。介入して約 1 カ月後には、ヒロキに行き過ぎたツッコミをしていた男児が、ヒロキをかばう姿も見られるようになった。幼児期にみられる“いじめの芽”に対して、笑わせる子どもが、仲間とともに笑っているのか、笑われる対象となっていないかを園が一体となって協働的に子どもに関わり、時に、外部の視点も取り入れながら適切に判断し、保育を行うことの重要性を示唆する事例であると思われる。
Databáze: OpenAIRE