Autor: |
Hirai, Hirokazu, Adachi, Kiyoto |
Jazyk: |
japonština |
Rok vydání: |
2018 |
Předmět: |
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Zdroj: |
經濟學研究. 68(2):17-47 |
ISSN: |
0451-6265 |
Popis: |
地租改正にその基礎を与えられ,産業革命期に確立した地主的土地所有の性格に関して,石井寛治は,借地借家法の研究者である水本浩と渡辺洋三の主張する「賃借権の物権化」を論拠に,その近代的性格の不十分性から「半封建的都市所有」であると結論付けた。その後,この近代的土地所有権成立の条件とされる「賃借権の物権化論」は様々な学問的分野から批判を受けた。第1に,近代的土地所有権が確立したとされる近代のイギリス土地法を,典型的な資本主義法制度と解してよいか,という批判である。すなわち,イギリス法では借地農が地主に対して優位に立つという法的構造は認められず,法的支援を受けて借地農による資本家的経営を発展させたとは言えないという研究がある。第2に,「近代的土地所有権」が成立するための3つの指標とされる「賃借権の第三者対抗力」「借地の譲渡転貸の自由」「長期契約の確立」は,いわばその「外的構造」に過ぎず,真の近代的土地所有が成立するためには,「土地改良施工権」や「土地改良費償還請求権」という「内的構造」が付随していなければならない,という批判であった。また,これらの3指標は,賃借権の債権構成のもとでも成立が可能である。さらに,明治民法のもとでの地主小作関係に関する大審院の判例においては,大審院は地主と小作人による当事者としての契約を重視し,凶作時の減免に関しても,当該地域の慣習を重視するような判決を出している。つまり,裁判所は明治民法を盾にして,地主のみに有利な判決を出しているわけではない。 地租改正期以降の土地所有の法的性格に関する判例においては,地租改正によって近代的土地所有が「創設」されたとする「創設説」が,幕藩体制期に成立していた事実上の近代的土地所有を「確認」したとする「確認説」よりも優勢である。地租改正事業による土地所有権の確立は,土地所有を通ずる人格的支配や封建的・身分的貢租を伴わない経済的な価値支配権としての知的土地所有権,すなわち「近代的土地所有権」を確立したと評価できる。 |
Databáze: |
OpenAIRE |
Externí odkaz: |
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