先進ナノ構造・状態解析共通拠点(北海道大学)

Autor: Shibayama, Tamaki, Matsuo, Yasutaka, Agus, Aubagyo, Sakaguchi, Norifumi, Watanabe, Seiichi
Jazyk: japonština
Rok vydání: 2019
Předmět:
Zdroj: まてりあ. 58(12):758-762
Popis: 北海道大学における透過電子顕微鏡を利用した研究は、1942年まで遡る。第二次世界大戦後、国内における透過電子顕微鏡の研究開発が再開され市販が開始されると昭和23年に本学工学部に日立製作所のHU4型(加速電圧5万ボルト、分解能3nm)が設置された。当時、この貴重な透過電子顕微鏡を全学で共同利用するため電子顕微鏡管理委員会が直ちに設置されたことが、現在の共用の精神の礎になっていると言えよう。その後、それぞれの用途に応じた性能を有する電子顕微鏡が各学部に導入されて様々な分野で利用されている。例えば、医学部や歯学部では生命科学の研究に臓器や骨、歯などの生体組織の切片やウイルスの微細構造解析が行われている。農学部や理学部などでは生物や植物あるいは鉱物等の微細構造解析の研究に用いられている。本学の研究者らは、国内における電子顕微鏡の研究開発の創成期において、民間企業との共同研究を積極的に進め、現代のカスタマーフィードバックやユーザーフレンドリーのさきがけになったことも特筆すべきである。本学は、立地環境や地理的なことも含め、近隣で分析機器を貸し借りするようなことは容易ではなかったため、当時から研究設備を積極的に共同利用して運用してきた。そのため、学内に設置された電子顕微鏡を始め研究室では単独で購入して維持が難しい分析機器や大型実験装置を共用し維持する文化が育まれていた。そこで大学では、半世紀以上前の1963年には、全学共同利用施設あるいは学部共用施設の円滑な運営のための共同利用施設等管理規定を制定した。それらは、国立大学法人化以降も引き続き学内共同利用施設として運用され、現在では、利用者の所属機関を分類して各種利用料金が制定され、学外の研究者へも広く開放し、産学官連携研究に貢献している。また、当時の国立大学付置研究所が全国大学共同利用施設として年度ごとに利用課題を募集し、採択された申請課題に関して予算を付与し、研究者自身の自己資金も充当して共同利用できるシステムを構築し現在も継承している。そのシステムを利用したことがある教員や携わっているあるいは携わっていた教員がいることも共用化そ進める上で有利となったと考えている。その様な背景の下、文部科学省が進める大学や研究機関が保有する研究設備の共用化を推進して産学官の幅広い利用に供することにより、イノベーションにつながる成果を創出することを目的としたナノテクノロジーに関する共用基盤ネットワークに参画することとなった。北海道大学は、2007年度から始まった第二期の「ナノテクノロジーネットワーク」の実施機関として認定して頂き、第三期の「ナノテクノロジープラットフォーム」に引き続き実施機関として認定され、現在に至っている。本稿では「微細構造解析プラットフォーム」における産業界の利用成果などを織り交ぜながら機器の紹介を行い、今後、読者が北海道大学のナノテクノロジープラットフォーム(以下、ナノプラとする。)で提供する微細構造解析機器の共同利用の一助となれば幸いである。
Databáze: OpenAIRE