高強度フェムト秒レーザーによる最小の芳香族4価陽イオンの生成

Autor: Akihiro Kitashoji, Tomoyuki Yatsuhashi, Taiki Yoshikawa, Akimasa Fujihara
Rok vydání: 2019
Předmět:
Zdroj: Chemistry Letters. 48:1472-1475
ISSN: 1348-0715
0366-7022
Popis: 芳香族フッ素化合物にフェムト秒レーザーを照射することで、芳香族化合物では最も小さい4価陽イオン(ヘキサフルオロベンゼン、C6F6)を生成することに成功しました。イオンの検出には飛行時間型質量分析計を用い、イオンの飛行時間からイオンのm/zを決定しました。さらに、同位体ピークの面積比から元素組成を決定しました。このような多価陽イオンを生成することができた理由として、フェムト秒レーザーを用いるトンネルイオン化によって生じるイオンが余剰なエネルギーをもたないこと、プロトンとして容易に脱離する水素原子をフッ素原子で置換したことが挙げられます。今回、フェムト秒レーザーを用いることで芳香族4価陽イオンについて分子サイズの最小値を34年ぶりに更新しました。その一方で、リフレクトロンを用いて、4価ヘキサフルオロベンゼンの寿命の下限値を9マイクロ秒と見積もりました。ヘキサフルオロベンゼンについては、高速イオン選別器を用いて価数別にイオンを選別し、解離で生じる生成物をリフレクトロンによって分離する事で価数ごとの反応の観測を試みました。しかしながら、検出感度を限界まで上げても生成物は観測されませんでした。多価陽イオンが単独では極めて安定であることが明らかになりましたので、これまで未知であった多価陽イオンの物性や反応の研究が可能であるといえます。また、多価陽イオンのサイズが十分に小さくなったため理論研究にも取り組みやくなったといえます。これらの課題については、引き続き研究を進めていくつもりです。(参照: LINK1)
We report the production of the long-lived hexafluorobenzene tetracation, which is the smallest aromatic tetracation ever investigated, by 0.8 μm femtosecond laser pulses. The tetracation yield relative to that of trication radical is 0.11. Using the time-of-flight mass spectrometer equipped with the fast ion gate and the curved field reflectron, we estimate the lower limit of the lifetime of tetracation to be 9 μs. Confinement of multiple positive charges in a small organic molecule is unexpected; however, our finding is an answer of this fundamental concern.
Databáze: OpenAIRE