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キャピラリー電気泳動は光学異性体の分離に優れており, シクロデキストリンをはじめとした, 多くの光学活性化合物がキラルセレクターとして応用されている. 特に, 電荷を持つシクロデキストリンは光学認識能に優れ, 多様な薬物の光学異性体分離が報告されている. 硫酸化シクロデキストリンも幅広い光学認識能を持つことが知られているが, 従来のものはβ型のみ利用可能で, しかも硫酸基の導入数が低いものであった. 今回, 硫酸基の導入数が比較的高く, かつ一定である硫酸化シクロデキストリン3種類 (α, β及びγ型) を用いて, 医薬品を中心としたラセミ体28化合物の光学異性体の分離を検討した. その結果, β型のものを中心として, 検討を行ったラセミ体の75%が光学異性体分離され, 硫酸化シクロデキストリンの幅広い光学認識能が示された. 特に, 電気的に中性なシクロデキストリンと比較するとき, γ型の硫酸化シクロデキストリンで光学認識されるものが多く, また硫酸化シクロデキストリンのβ型とγ型とで光学異性体の泳動順が逆転するものも観察された. 更に光学認識された幾つかの化合物について, 結合定数を算出し, 硫酸化シクロデキストリンの光学認識能について, 若干の考察を行った. その結果, 電気的に中性なシクロデキストリンでの結合定数と比較して, 10倍以上大きく, 静電的相互作用が硫酸化シクロデキストリンの光学認識能に大きく寄与していることが示唆された. |