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雄の成ライチョウに粗繊維含量10%,15%あるいは20%の自家配合飼料(乾物100g当りそれぞれCP: 16.1, 15.2, 14.3gおよびGE: 2058, 2058, 2054kJ)を9日間給与し,飼料成分の利用性とこれに及ぼす繊維含量の影響について調べた。1. 体重はどの実験飼料を給与した場合にも変化せず,乾物摂取量は体重kg当り56-58g/日で3飼料区間に有意差は認められなかった。2. 乾物消化率は10%,15%および20%粗繊維飼料区でそれぞれ61%, 60%および54%であった。3. 10%, 15%および20%粗繊維飼料区で,粗繊維消化率はそれぞれ21%, 25%, 19%と低く,窒素蓄積率もそれぞれ21%, 23%, 14%ときわめて低かった。これらはいずれも飼料区間で有意差が認められなかった。4. 一羽当たりのエネルギー摂取量は10%,15%および20%粗繊維飼料区で,それぞれ539kJ, 556kJおよび554kJ/日で,そのうち代謝エネルギーは348kJ, 349kJおよび321kJ/日であった。飼料の代謝エネルギー値は,10%, 15%及び20%粗繊維飼料区でそれぞれ12.33kJ/gDM, 11.96kJ/gDMおよび11.01kJ/gDMであった。5. 粗脂肪の利用率は85-87%,可溶無窒素物の利用率は80-82%と高く,これらは何れも飼料中の繊維含量によって有意な影響を受けなかった。以上の結果から,ライチョウの維持のための代謝エネルギー必要量は500g体重当り一日に約320kJと考えられ,供試した飼料はライチョウにとって高エネルギーで,高タンパク質であったため粗繊維消化率と粗タンパク質の蓄積率が低かったものと考えられる。 |