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産業廃棄物焼却飛灰 (フライアッシュ) 試料中の希土類元素の定量を行った. 試料はメタホウ酸リチウムを融剤として用いるアルカリ融解法により溶液化し, 誘導結合プラズマ質量分析法により, 希土類元素の測定を行った. また, 石炭焼却飛灰標準物質の分析も同時に行い, 分析法の評価及び測定値の比較を行った. 本分析法により, 産業廃棄物焼却飛灰中でμg g-1からサブμg g-1レベルで存在する全希土類元素について, 精度良く定量することができた. 産業廃棄物焼却飛灰中の希土類元素の濃度は, 石炭焼却飛灰中と比較して一けたから二けた低いものであった. また, 試料中の希土類元素の存在度について, 地殻中濃度を基準とする希土類元素存在度パターン (希土パターン) を用いて比較すると, 石炭焼却飛灰では地殻と類似した希土パターンが得られたのに対し, 産業廃棄物焼却飛灰では軽希土類元素, Eu, Tbに明らかな正の異常が見られる特徴的な希土パターンが得られた. 更に, 焼却飛灰中希土類元素の溶出挙動について, 1M硝酸溶液を用いて検討したところ, 希土パターンで正の異常が見られた元素の溶出挙動が異なることが分かった. これらの結果は, 工業活動に伴う希土類元素の人為的な利用を反映するものと思われる. |