遅発性に症状の増悪を認めた陰圧性肺水腫の1例(A case of negative pressure pulmonary edema that worsened late after onset)

Autor: 曽我部 拓 (Taku Sogabe), 石田 健一郎 (Kenichiro Ishida)
Rok vydání: 2015
Zdroj: Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine. 26:676-680
ISSN: 1883-3772
DOI: 10.1002/jja2.12068
Popis: 要旨 5歳の男児が冷凍ブドウを喉に詰めたため母親が救急要請した。救急隊接触時,患児はチアノーゼが著明であったが啼泣していた。酸素投与後マギール鉗子でブドウの皮は除去され,チアノーゼが改善した状態で搬入された。搬入時のバイタルサインは意識清明,血圧124/79mmHg,脈拍数133/分・整,呼吸数48/分,フェイスマスクによる酸素5L/分投与下でSpO2 96%であった。胸部レントゲンで両肺野に若干の浸潤影がみられた。酸素投与を継続して救命センターHCUに入院となった。入院3時間後より不穏となり,呼吸数の増加を認めた。胸部レントゲン撮影を施行したところ両側肺野の浸潤影の増悪を認めたため気管挿管し人工呼吸管理とした。気管内からはピンク色泡沫状分泌物が多量に吸引でき,胸部CTで両肺中枢優位にすりガラス影を認めた。窒息のエピソードから陰圧性肺水腫と診断しICU入室とした。人工呼吸管理を継続し胸部レントゲン所見が改善したことを確認後第5病日に抜管,第8病日に退院となった。陰圧性肺水腫の発症機序は解明されていないが,吸気努力による胸腔内圧の著明な低下が一因とされ,急性上気道閉塞後または慢性上気道閉塞の解除後数分以内に起こるとされている。迅速に適切な治療が行われれば予後はよい疾患であるが,本症例のように数時間後に症状の増悪を来すことがあるため呼吸状態の厳重な観察が必要である。
Databáze: OpenAIRE