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日赤本部産院に分娩のため入院した母親から人初乳を採取し, その68例について化学分析をおこなった。1. 各測定項目の3~7日 (初乳) までの平均値 (試料100g中) と不編分散の平方根 (カッコ内) は, 全固形分12.41 (1.22) g, 脂質2.96 (1.26) g, 無脂固形分9.46 (0.45), 乳糖5.80 (0.37) g, 粗タンパク質2.05 (0.48) g, 純タンパク質1.63 (0.48) g, 非タンパク質窒素化合物0.43 (0.11) g, カゼイン0.76 (0.33) g, 乳清タンパク質0.87 (0.49) g, 灰分0.30 (0.035) g, カルシウム23.2 (7.2) mg, リン24.2 (4.9) mg, 鉄0.17 (0.02) mgであった。2. 分娩後の経過日数の影響をみると, 日数の増加にともなって乳糖とリンは1%危険率, 全固形分は5%危険率で増加する。粗タンパク質, 純タンパク質, 乳清タンパク質および灰分は1%危険率で低下する。3. 全窒素中の各窒素区分の割合は, 純タンパク質窒素80%, 非タンパク質窒素20%で経過日数に関係なく一定であり, その結果, カゼイン窒素は初乳中含有量で経過日数による変化はないが, 全窒素中では増加し, 乳清タンパク質は減少する。4. 人初乳の10% TCA沈澱窒素 (=x) と, Folin-Wu法沈澱窒素 (=y) の間にはx=1.020 y-0.026, y=0.941 x+0.035の関係があり, 正の相関 (r=0.98) であった。5. 常乳と比較して初乳の乳糖はひくく, 粗タンパク質, 純タンパク質, 乳清タンパク質, 非タンパク質窒素化合物は高い含量をしめした。また個体間の変動も常乳と比較して大きく, 経過日数の影響が大きいことを示した。 |