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本実験は成熟ラットを用い, 20%全卵たん白質飼料から5%全卵たん白質飼料に切り替えた場合, またはその逆の場合にみられる2~4日間の体窒素量と臓器・組織窒素量の変化から易動性たん白質の依存量とその存在形態を明らかにした。肝臓, 膵臓, 血液についてはその構成成分の変化も調べた。得られた結果は次のとおりである。1) 易動性たん白質は体たん白質の約1.8%であった。2) 易動性たん白質に大きく寄与する臓器は肝臓と小腸であった。3) 臓器・組織の易動性たん白質保有割合は膵臓, 盲腸, 小腸, 肝臓の順に大きく, 消化器系臓器において著しいことが示された。4) 血液のアルブミン, グロブリン, 非たん白態窒素, 血球の各画分および肝臓の核, ミトコンドリア, ライソゾーム, ミクロソーム, 細胞質の各画分における窒素分布に大きな変化はみられなかった。しかし, 膵臓では, 核, チモーゲン, ミトコンドリア, ミクロソーム, 細胞質画分のうち, チモーゲン画分の減少が著しく, この画分が易動性たん白質の特性をより多く備えていることが示された。5) 膵臓のたん白分解酵素とアミラーゼの全活性の減少割合は膵臓窒素の減少割合よりも大きく, 易動性たん白質は生体機能の維持に効果をもつ可能性が示された。 |