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豆腐乾燥工程における微生物のはたす役割を明らかにするために,プロティナーゼ活性の高い細菌を分離し,分離菌株による細菌接種区と細菌非接種区(特別には細菌を接種しない従来法による区)における豆腐の乾燥過程におけるタンパク質や窒素成分の変化等について比較検討した.(1) プロティナーゼ活性の高い細菌Bacillus TYO67がとうふよう製造過程で分離された.(2) 純粋培養で生育させた分離菌株を接種した区と非接種区における豆腐の乾燥過程における純タンパク質量の変化を調べたところ,いずれの区においても乾燥の経時的変化に伴い減少した.乾燥豆腐の純タンパク質量は細菌接種区の方が細菌非接種区に比べて低い値を示し,前者の方が後者に比べてタンパク質の分解がより進行していることがわかった.(3) 細菌接種区と細菌非接種区におけるタンパク質の水溶化率, 4% TCA可溶性窒素量及び75%エチルアルコール可溶性窒素量の総窒素量に対するそれぞれの比率及び遊離アミノ酸量を調べたところ,これらの数値は両区いずれの場合にも乾燥の経時的変化に伴い増大した.特に,細菌接種区におけるこれらの数値は細菌非接種区に比べて高い値を示した.各遊離アミノ酸量及びアミノ酸組成は細菌接種区と細菌非接種区では異なる傾向を示した.(4) 細菌接種区と細菌非接種区の乾燥豆腐をそれぞれ調製し,とうふようの製造試験を行ったところ,細菌接種区では細菌非接種区に比べて熟成時間が短縮された.豆腐の乾燥工程における細菌のはたす役割は「前発酵」として意義づけられた. |