喉頭と腸管に同時に浮腫を生じた遺伝性血管性浮腫の1例(Hereditary angioedema with laryngeal and intestinal edema)

Autor: 關 匡彦 (Tadahiko Seki), 堀 雅俊 (Masatoshi Hori)
Rok vydání: 2016
Zdroj: Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine. 27:168-173
ISSN: 1883-3772
Popis: 要旨 症例は67歳の女性。64歳の時に遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)と診断され,数日で軽快する顔面の発作性浮腫を数か月に1回の頻度で繰り返していた。受診の9時間前より誘因なく顔面の浮腫を認め,呼吸困難,悪心,嘔吐を伴ったため救急搬送された。来院時,SpO2 100%(酸素マスク8L/分)で頻呼吸であり顔面に著明な浮腫を認めた。気管支鏡にて強い喉頭浮腫を認め,気道確保のため気管挿管を行った。血液検査では血清C4値とC1–インヒビター(C1–INH)活性値は高度に低下しており,嘔吐の原因精査のため施行した腹部CTでは十二指腸の著明な浮腫性肥厚を認めた。HAEの発作と診断し,C1–INH製剤1,500単位を静脈内投与した。第2病日には悪心は消失して十二指腸の浮腫も軽減していたが喉頭浮腫は増悪し,第3病日にも残存したためC1–INH製剤1,500単位を追加投与した。第4病日には喉頭浮腫も軽快したため抜管した。喉頭と腸管に同時に浮腫を来したHAEの報告は過去になく稀な症例であったが,C1–INHの局所的枯渇がHAEにおける発作性浮腫の原因であり,複数箇所に同時に浮腫を来すこともある。発作性浮腫は気道緊急,急性腹症,循環虚脱などに至ることもあるため,発作時には他の部位に合併する浮腫の有無を検索する必要がある。
Databáze: OpenAIRE