Galectins from the Nematode Caenorhabditis elegans and Glycome Project

Autor: Jun Hirabayashi, Yoichiro Arata, Ko Hayama, Ken-ichi Kasai
Rok vydání: 2001
Předmět:
Zdroj: Trends in Glycoscience and Glycotechnology. 13:533-549
ISSN: 1883-2113
0915-7352
DOI: 10.4052/tigg.13.533
Popis: ガレクチンは幅広い生物に見つかる比較的分子量の小さなレクチンで、進化的に保存されたβガラクトシド結合活性をもつ。以前我々は、線虫 Caenorhabditis elegans から32-kDaガレクチン、16-kDaガレクチンと名づけた異なる二種類のガレクチンを見つけ、その性質を調べた。しかし、最近、この生物のゲノムプロジェクトが完成し、より多くのガレクチン様遺伝子の存在が明らかとなっている。これらガレクチン候補遺伝子についてさらに詳しく調べるため、これらに系統名lec-1-11をもうけた。このうち、以前解析された32-kDaガレクチン、16-kDaガレクチンは、それぞれLEC-1、LEC-6タンパク質に相当する。また、32-kDaガレクチン (LEC-1) とより密接な関係を示した四つのメンバーはlec-2-5と、また新しい特徴を持ったそれ以外のメンバーはlec-7-11と命名した。cDNAクローニングによってこれらの遺伝子の読み枠を決定し、ゲノム/プロテオームデータベースに登録した。これら新規ガレクチンの生理機能を知るため、詳細な糖特異性を、最近補強されたフロンタルアフィニテイークロマトグラフィー法によってに調べた。一方、内在性糖タンパク質レセプターの同定には、最近開発されたグライコキャッチ法を援用した。フロンタル解析の実施には蛍光標識された一連のオリゴ糖鎖を用いるが、本解析法ではこれらに対するアフィニティーを定量的に、迅速、かつ信頼度高く求めることができる。後者のグライコキャッチ法ではC. elegans ガレクチンが特異的に認識した糖タンパク質に対する遺伝子を特定する。これは、従来から用いられているレクチンアフィニティー技術に、最近のin silico レベルのデータベース検索を組み合わせた画期的な方法である。実は、これら二つの新技術は、そのまま著者らが提案しているグライコームプロジェクトへの応用が可能である。すなわち、我々のグライコームプロジェクトでは、ゲノム科学の潮流にのった形で「糖タンパク質リスト」の作成を目指す。グライコキャッチ法によって以下の三点が明らかにされる。1)どの遺伝子が糖タンパク質として発現されるか。2)どの位置が実際に糖鎖の付加を受けているか。3)その糖鎖の種類はどのようなものか(例、N-結合型かO-結合型か、高マンノース型か複合型か)。実際にコンカナバリンAとLEC-6ガレクチンを用い、C. elegans の可溶性、及び界面活性剤抽出物の双方についてグライコーム解析を試みているが、かなりの数の糖タンパク質コード遺伝子を決定できた。よって、本戦略はヒトなどの、より複雑な生物に対する応用も十分可能と判断される。最後に、プロテオーム/グライコームデータベースへの糖鎖の記載法に関し、新しい提案を行う。
Databáze: OpenAIRE