Seasonal Variation of Benthic Nepheloid Layer in Lake Biwa

Autor: Shuichi Endoh, Shoko Nakayama, Tatsuaki Hattori, Yasuaki Okumura, Kunihiko Sagi, Munetsugu Kawashima
Rok vydání: 1997
Předmět:
Zdroj: Japanese Journal of Limnology (Rikusuigaku Zasshi). 58:27-44
ISSN: 1882-4897
0021-5104
Popis: びわ湖の湖底高濁度層(Benthic Nepheloid Layer)の特徴や季節変動を捉えることを目的とし,4年間にわたる水温・濁度・クロロフィルαなどの観測にもとづいて研究を行った。湖底高濁度層は、水温成層期に発達し,非成層期には存在しない。湖底高濁度層の厚さや濁度の変動は,主として降雨後に河川から流入した土壌起源物質による。土壌起源物質の指標である粒状態アルミニウムが高濁度層内で増加する時には,同時に植物プランクトンの指標である粒状態リンの増加が見られる。これは河川からの濁水が表層や躍層に生息する植物プランクトンの一部を吸着し,ともに湖底に沈降したためと考えられる。ただし,アルミニウム濃度がその後すぐに減少するのに対し,リン濃度は増加する。すなわち,土壌起源物質は密度が大きいためにすぐに沈降・堆積し,吸着されなかった植物プランクトン起源の物質がその後ゆっくりと沈降したためと考えられる。あるいは,一度湖底に堆積したデトライタスがその密度が小さいために湖底付近の流れによって再浮上したためとも考えられる。したがって,河川流入が少ないときにも湖底高濁度層が維持されているのは,植物プランクトンの沈降および再浮上による濁度の供給と,それらの分解(無機化)による堆積に伴う濁度の減少との収支がほぼ釣り合っているためと考えられる。このほか,夏季から成層末期にかけて底層水の低酸素化に伴うマンガンの化学変化による濁りの形成が見られた。さらに,強風の連吹後に発生した底層での強い流れにより底泥の巻き上げが生じたが,その濁りはその後急速に消滅した。
Databáze: OpenAIRE