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本研究では, 我が国の小学校音楽科教科書『小学生の音楽』の題材構成と, 教育内容の系統性を明らかにすることを目的とした。その結果, 以下のことが明らかとなった。第1学年ではリズムの学習が, 第2学年ではリズムの学習に加えて音高感の学習が, 第3学年と第4学年では旋律の学習が中心となっている。第5学年では, 旋律の重なりや和音の教育内容が加わる。第6学年では, 楽譜の知識や音楽の知識に関する教育内容が中心となっているが, 他の学年よりは少ない。合唱や合奏の表現の工夫が多くなるためである。つまり, 低・中学年では, 教育内容の系統性が見られ, 教育内容に合わせた教材が配置されているが, 高学年では, 教育内容が先行するのではなく, 表現のための教材が中心となっているのである。全学年を通して重視されている「曲の様子」「曲の気分」「曲想」を, 「思い浮かべる」「味わう」「感じ取る」ことによって表現の工夫へ結びつけることは難しい。第2・3・4学年の教育内容であったリズムや旋律の特徴を確実に把握することを繰り返しフィードバックしない限り, 第5・6学年の教材の表現の工夫をすることは難しいであろう。 |